飲食店で出すお米と言えば何といってもコシヒカリなので、業務用のものを購入してみたいと考えているけれど、特徴や扱い方についてよくわからないので一歩踏み出せないという人はいませんか?
この記事では、コシヒカリを業務用として使用する際に知っておきたい特徴から相性の良い料理まで詳しく解説します。
コシヒカリとは
コシヒカリはそもそもどこで産まれたどのようなお米なのでしょうか。
名前の由来と産地による違いをご紹介します。
名前の由来
コシヒカリという名前は、新潟県農業試験場長の國武正彦氏が詠んだ「木枯らしが吹けば色なき越の国せめて光れや稲コシヒカリ」という歌の中で越の国(越前、越中、越後などの北陸地方)に光り輝く品種になるようにとの願いを込めたことから名付けられ、1956年に農林登録されました。
國武氏は後に、コシヒカリについて命名した通り「越の国に光り輝く希望のイネだった」と語り、前述の歌と共に「倒れ伏す稲の刃切れの音冴やに稈生きをると支え弾ます」という歌を残しています。
おもな産地による違い
コシヒカリの主な産地による特徴の違いを表にまとめてみました。
産地 特徴
富山 ・コシヒカリ本来の特徴である粘りが強くやや硬めで甘味がある
新潟 ・炊いたご飯が白くて艶があり、食べた時に粘り、かすかな甘み、香りがある
福井 ・粘り気が強く、もっちりとした食感で炊き立ての艶もよく、一年中新米を食べているような食味
京都丹後 ・昼と夜の寒暖差から強い甘味と旨味が生まれもっちりとした食感
山形庄内 ・香りが良く上品な粘りで雑味のないバランスの取れた味
どこで生産されたコシヒカリなのかにより、お米の味わいが異なることを覚えておきましょう。
コシヒカリの特徴まとめ
お米の品種として人気のコシヒカリがどのような特徴を持っているのかを、表にまとめてみました。
項目 | 概要 |
米粒 | ・白くて艶があり炊き上がりの見た目が美しい |
粘り | ・ふっくらもっちりとした粘りがある |
味 | ・甘味と強い旨味があり香りも豊か |
食感 | ・しっかりした粘りから来る重めの食感 |
弾力 | ・優れている |
コシヒカリはお米として広く好まれる特徴を持っているのがわかります。
また公益社団法人米穀安定供給確保支援機構では、2010年から水稲の品種別作付動向について公表を行っていますが、2010年~2021年にかけて全国で最も作付が多かった品種がコシヒカリです。
これらのことからコシヒカリは、日本の業務用米の中でも主力となる品種だと言えるでしょう。
参考:米国機構米ネット「品種別作付動向」
おいしい炊き方は?
業務用コシヒカリを美味しく炊くにはどのようなことに気を付ければよいのでしょうか。
吸水時間と水分量に分けてご紹介します。
冬場なら60分以上、夏場なら30分程吸水
業務用コシヒカリを炊く時は、冬場なら60分以上、夏場なら30分ほど吸水させましょう。
もし吸水時間を取らないとせっかくの業務用コシヒカリが、粘りのない芯が固いごはんに炊きあがってしまいます。
炊くまでの時間があまり取れない場合でも、ぬるま湯を使って15分~20分ほど吸水させるようにしましょう。
水分量のコツ
業務用コシヒカリを炊く時の水加減は、新米時の場合、有洗米は生米に対して、1.35倍の加水量、無洗米は生米に対して1.45倍の加水量で炊飯して下さい。
美味しく炊くためには新米は少し少なめの水で、古米は少し多めにするのがコツです。
また炊き上がりのごはんを好みの固さに調整したい場合は、水分量を5g~10gずつ変えてみて試しながら好みの固さを見つけてみてください。
相性のいい料理・メニュー
吸水時間と水分量に気を付けて美味しく炊き上げたコシヒカリは、どのような料理やメニューに合わせるのがよいのでしょうか。
相性のいいおかずをご紹介します。
ハンバーグ、焼肉など濃いめの味の料理
コシヒカリは甘味と強い旨味があり、香りが豊かでしっかりした粘りから来る重めの食感を持つため、濃厚な味わいを持つのが特徴的なお米です。
そのため濃い目の味・強い味・脂っこい味などの素材や料理、調味料と組み合わせると、コシヒカリの濃厚な味がそれらに負けず引き立て合うこととなり、料理を口にした際の満足感を高める事ができるでしょう。
具体的なメニューの例をご紹介します。
・ハンバーグ
・焼肉
・とんかつ
・味の濃い煮物
・魚の漬け焼き
・魚の照り焼き
・漬物
・塩辛
・卵かけごはん
どれもおかず自体の味がはっきりしていて、印象に残るものばかりです。
お店で業務用コシヒカリを出すなら、おかずはしっかりとした味付けを心がけましょう。
まとめ
コシヒカリは甘味と強い旨味があり香りが豊かで、しっかりした粘りから来る重めの食感を持ち、濃厚な味わいを持つのが特徴的なお米のため、お店で出すなら味のはっきりしたおかずと組み合わせて提供するのが望ましいでしょう。
この記事も参考にして、ぜひ仕入れの前に業務用コシヒカリに対する理解を深め、メニュー作成に活かしてみてください。