お店で提供するお米を美味しく炊くためには、浸水時間が重要だと聞いたけれど、その理由や今使っているお米に適切な時間がよくわからず困っている人はいませんか?
この記事ではお米を浸水させる理由からおすすめの水、浸水時間の目安まで詳しく解説します。
お米を浸水させる理由とは?
お米を美味しく炊くためには、なぜ浸水する必要があるのでしょうか。
2つご紹介します。
1.お米のデンプン質をアルファー化(糊化)させる事が大切
お米にはデンプンが含まれていますが、内部まで十分に浸水したお米のデンプンは加熱によって分解され、粘りのある状態になります。
この状態をアルファー化=糊化(こか)と呼ぶのです。
お米をアルファー化することで甘味の元となる糖が生まれもっちりとした食感となるため、お米を浸水するのは美味しいごはんを炊くために欠かせない手順だと言えるのです。
2.芯までふっくら炊くために、米の中心まで十分に水を浸透させる
お米の浸水時間を守ることで芯まで熱が通りやすくなるため、デンプンのアルファー化が表面しか行われていない芯の残ったごはんが炊けてしまうといった失敗が防げます。
同じお米を炊いても芯が残った状態では旨味や粘りに欠けたごはんとなるため、美味しいごはんを提供したいなら浸水時間は必ず守りましょう。
浸水するためのおすすめの水とは?
お米に浸水させるのに向いている水にはどのようなものがあるのでしょうか。
3つご紹介します。
浄水器を通した水
日本では水道法の第4条で水質基準について決められているため、安全性については問題がありません。
しかし水道水ならではのカルキ臭、鉄サビ臭、カビ臭、泥臭、油臭などのにおいをごはんに移らせたくない場合は浄水器を通した水を使うのがおすすめです。
浄水器を購入する時は気になる臭いや成分が取り除けるかどうかを確認するのが望ましいでしょう。
参考:e-GOV法令検索「水道法」
一度沸騰させた水
水道水のカルキ臭を除去するには、一度沸騰させるのもおすすめです。
何もしないでお米を炊いた時と比較すると、炊飯後の仕上がりが良くなります。
塩素・ミネラルを含まない水
塩素が含まれていないミネラルウォーターは、カルキ臭を気にすることなくお米の浸水に使うことができるでしょう。
またミネラルウォーターは、中に含まれているミネラル(カルシウム・マグネシウム)の成分によって次のように分類されます。
分類 | ミネラル成分の含有量 |
軟水 | 0~60mg/L |
中硬水 | 61~120mg/L |
硬水 | 121~180 mg/L |
超硬水 | 180mg/L以上 |
硬水に多く含まれるカルシウムはお米の成分と結合してパサパサした食感になるため、お米を炊くならミネラルの含有量が0~60mg/Lの軟水を選ぶようにしましょう。
季節によって浸水時間が違う
お米の望ましい浸水時間は季節によって異なります。
春、夏、秋、冬、季節ごとの目安
お米を炊く時に、季節ごとにおすすめの浸水時間を表にまとめてみました。
季節 | 浸水時間 |
春・秋 | 45分程度 |
夏 | 20分程度 |
冬 | 60分~90分 |
もし炊き上がったごはんがやわらかければ浸水時間を短くし、固ければ長くして調整してみてください。
銘柄・お米の特徴によって浸水時間を意識する
お米工房こめっとのホームページに掲載されている「米品種食味チャート」ではお米の味をあっさり⇔もっちり、硬い⇔柔らかいの4つの方向でチャート化していますが、この味の特徴でも浸水時間を変えるとより美味しく炊けるでしょう。
あっさり・柔らかい
味があっさりしていて柔らかい食感なのが鹿児島県産あきほなみです。
あきほなみは比較的粒の大きいお米なので最低でも30分は浸水時間を取りましょう。
もっちり・柔らかい
もっちりしていて柔らかい食感なのが新潟県産コシヒカリです。
浸水時間は夏なら20分、冬は1時間〜1時間半、春と秋45分程度にするのが望ましいでしょう。
あっさり・硬い
味があっさりしていて硬めの食感なのが富山県産のてんたかくです。
夏なら30分~1時間程度、冬は1時間浸水することで美味しい仕上がりとなります。
もっちり・硬い
もっちりしていて硬めの食感なのが山形県産のはえぬきです。
30分程度浸水することで美味しく炊けるでしょう。
上記の鹿児島県産あきほなみ、新潟県産コシヒカリ、富山県産てんたかく、山形県産はえぬきは関西業務用米.comでも取り扱いのある銘柄のため、食べ比べセットでの試食、またオリジナルブレンドを作ることも可能です。
自分のお店で出すお米は試食をして、こだわって選びたいという方はぜひお問い合わせください。
製品情報 – 関西業務用米.com (midorifoods.com)
参考:お米工房こめっと「『米品種食味チャート』更新しました」
まとめ
お米の浸水は芯を残さず旨味があり食感のよいごはんに炊き上げるために重要な手順で、季節や炊きたいお米の銘柄に合わせてその時間を変化させるのが望ましいでしょう。
この記事も参考にしてお米の浸水時間を調整し、より美味しいごはんをお客様に提供してみてください。