高齢者のための介護食メニュー「ちらし寿司」

目次

平成 24 年 10 月 15~28 日に国立長寿医療研究センターがした「在宅療養患者の摂食状況・栄養状態の把握に関する調査研究報告書」によると、在宅療養をしている高齢者男女990名のうち、残存歯数は「1-9 本」の者が男性 27.9%、女性 27.2%、「0 本」の者が男性 24.7%、女性 32.0%。約 6 割の者は歯が 0-9 本。入れ歯の有無は男女ともに「あり」が 6 割。
「どんなものでも欲しいものを噛んで食べられる」と回答した人は258名で、他の人たちは噛めないのが原因で食事に何かしらの対処を必要としていることがわかりました。
この記事では介護食とはどのようなものかから、よく食べられているちらし寿司のレシピまで詳しく解説します。

参考:国立長寿医療研究センター「在宅療養患者の摂食状況・栄養状態の把握に関する調査研究報告書

1.介護食でちらし寿司?


食事について特別な制限のない健康な人向けの食事を「通常食」と呼ぶのに対し、噛む力や飲み込む力の弱い人向けの食事を一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会が定めた分類では「嚥下調整食」、日本介護食品協議会が定めた自主規格では「介護食」と呼んでいます。

しかし2018年に東京都健康長寿医療エンターが発表した、全国の介護施設や配食事業者を対象とした調査の結果によるとこれらの分類を使用しているのは介護施設でも3割程度という結果だったため、「介護食」というと一般的には介護を必要とする人向けの食事という意味で認識されていることが多いでしょう。
介護食の一般的な分類とその特徴を表にまとめてみました。

介護食の種類 特徴 適する人
きざみ食 食品を小さく刻んだ食事 ・噛む機能が低下した人
軟菜食(ソフト食) よく煮込む、ゆでるなどして舌でつぶせる程度に柔らかくした食事 ・噛む機能が低下した人・飲み込む機能が低下した人

・胃腸が弱い人

ミキサー食 食品をミキサーにかけて液体状にした食事誤嚥しないようとろみをつけることもある ・飲み込む機能が低下した人
嚥下食 食品をミキサーにかけてペースト状やゼリー状にした食事 ・飲み込む機能が低下した人
流動食 スープや重湯などの液体状の食事 ・手術後や高熱で胃腸が弱くなった人

介護食は噛む力や飲み込む力の弱い人でも食べることを楽しみ、QOL(生活の質)を維持するためにあるため、季節を感じながら食べられるちらし寿司はぴったりのメニューだと言えるでしょう。

参考:一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下調整食学会分類2013」

参考:日本介護食品協議会「UDF(ユニバーサルデザインフード)ってなに?」

参考:東京都健康長寿医療センター「摂食嚥下機能低下者への介護保険施設等における食事提供 及び退院退所時等における連携の実態等、嚥下調整食の提供 のあり方に関する調査研究事業報告書」

ひな祭りなどいつもと違うごちそうメニューに

介護を必要とする人にとっては日々の生活がルーティンばかりになってしまわないよう、普段とは違う行事やイベントを食事の中でも取り入れていくことが大切ですが、その中でもちらし寿司は3月3日のひな祭りや誕生日パーティでもよく振る舞われる親しみやすいメニューだと言えるでしょう。
ひな人形を見て、他の人と会話を楽しみながら食べるといった工夫でより楽しい時間が過ごせます。

比較的、高齢者向けにアレンジしやすい

介護食のちらし寿司は介護施設でよく提供されるだけではなく、ソフト食やミキサー食のレシピもインターネット上で比較的多く検索できるため、介護を必要とする人の噛む機能や飲み込む機能に応じてアレンジしやすいと言えるでしょう。
市販の介護食でも種類が多く、選択肢が豊富です。

寿司飯の炊き方5ステップ

1.お米をとぎます。コツはとぎすぎない!
2.昆布をキッチンバサミを使ってきります。写真は多めに切ってありますが2,3等分。
3.炊飯器にお米を入れます。水加減はかためで!!その上に昆布を入れてくださいね。お酒は入れても入れなくてもお好みで。
4.硬め炊きならすぐにスイッチオン。不安なら15分くらい浸水放置。
5.後は昆布を出しておき、切るように混ぜる。


2.ちらし寿司のメリット


介護食としてちらし寿司を提供するメリットを3つご紹介します。


彩りがキレイ

ちらし寿司の具材はいくら、まぐろ、錦糸卵、絹さやと彩りが美しく、見た目が華やかで食べる人の食欲をそそります。
介護施設で普段食欲のあまりない人でも完食することが多いのは、この彩りの良さも理由の1つと言えるでしょう。


たくさん具材を細かく刻んで栄養価が高い

ちらし寿司は多彩な具材を使用するため、炭水化物、タンパク質、脂質、食物繊維などの栄養成分をバランス良く摂取することができます。
介護食は身体に必要な栄養成分をきちんと摂取するのも目的の1つであるため、ちらし寿司は理想的なメニューの1つと言えるでしょう。


ごはんを固めず、喉詰まりしにくい嚥下食

ちらし寿司にはお米を使用するため、介護を必要とする人の噛む機能や飲み込む機能に合わせて全粥、七分粥、五分粥、三分粥とさまざまに調整ができます。
ゼラチンを混ぜて喉越しを良くするなどの工夫もできるため、誤嚥防止がしやすいメニューだと言えるでしょう。


3.介護食にもおすすめ、簡単ちらし寿司レシピ

介護食のちらし寿司レシピを2つご紹介します。

①ゼラチンとちらし寿司の素を利用した簡単レシピ(きざみ食の人向け)
材料
・米(1合)
・ゼラチン(5g)
・ちらし寿司の素(適量)
・錦糸卵(20g)
・まぐろ(35g)
・えび(15g)

まぐろとえびは1口大に切り、お米を通常の水加減で炊飯器に設定しゼラチンを振り入れます。

お米が炊けたらちらし寿司の素を入れて混ぜ、具材をきれいに盛り付けたら完成です。

②市販のレトルトお粥を利用した簡単レシピ(軟菜食の人向け)
・市販のレトルトお粥(1パック)
・すし酢(適量)
・鮭フレーク(塩分量に合わせて調整)
・錦糸卵(20g)

市販のレトルトお粥を温め、すし酢を混ぜたらお皿に盛り付け、鮭フレークと錦糸卵を散らして完成です。


参考動画【基本のレシピ】パッと華やか! いろどり 具材の ばら ちらし 寿司 のレシピ 作り方


4.まとめ


介護食メニューとしてちらし寿司は彩りが鮮やかで食欲をそそり、栄養バランスも良いため行事食として提供すると生活の質を上げるのに役立つことがわかりました。
この記事も参考にして、ぜひ美味しいちらし寿司を作ってみてください。

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