高齢者の方からカレーを食べたいとよくリクエストをいただくけれど、介護食として本当に出してよいのだろうかと迷っている人はいませんか?
この記事では介護食としてのカレーの魅力からおすすめレシピまでくわしく解説します。
カレーの魅力
介護食でもカレーは大人気ですが、カレーの魅力とはそもそもどのようなものなのでしょうか。
2つの観点からご紹介します。
日本人の国民食!カレー
一般消費者にカレーを普及・拡大するために設立された、メーカーなど22社が加盟している全日本カレー工業協同組合のデータによると、2016年度のカレー粉の生産量は7,494トンで前年比102.1%、カレールウの生産量は91,485トンで前年比98.6%、レトルトカレーの生産量は153,185トンで前年比105.3%という結果となりました。
全体として食物としてもなかなか類を見ないほどの大きな生産量だと言えますが、カレー粉の生産量とレトルトカレーの生産量が伸びていることから、ひと手間かけて美味しいカレーを食べたいというニーズと、手間をかけずにカレーを手軽に食べたいというニーズがあるのがわかります。
また2016年のカレー輸入量は90,452kgで10か国以上の国々から輸入し、輸出量は217,240kgでこちらも10か国以上の国々に輸出していることから日本人は世界中にたくさんのカレーを供給し、また世界のさまざまな国のカレーを輸入して食べていると言えるのです。
これらのことから日本人にとってカレーは国民食だと言えるでしょう。
参考:全日本カレー工業協同組合「生産量」
参考:全日本カレー工業協同組合「輸出量」
参考:全日本カレー工業協同組合「輸入量」
スパイスの効果
カレーは「食べる漢方薬」と呼ばれるほどたくさんの健康効果が高いスパイスが含まれています。
カレーによく使用されるスパイスの主な効果を表にまとめてみました。
スパイスの種類 | 主な効果 |
クミン | 消化促進、血中コレステロール改善、抗酸化、減量促進など |
ターメリック | 肝機能向上、食欲増進、抗菌、血圧降下など |
クローブ | 抗酸化、抗菌、免疫調整など |
コリアンダー | 消化促進、食欲増進、鎮静など |
山椒 | デトックス、食欲増進、胃腸の機能向上、冷え症改善など |
ナツメグ | 口臭予防、疲労回復、快眠など |
パプリカ | 食欲増進、消化促進、エネルギー代謝促進など |
八角 | 胃の機能向上、鎮痛など |
カルダモン | 胃腸の機能向上など |
フェンネル | 胃腸の機能向上、食欲増進、消化不良の解消など |
ガーリック | 疲労回復、血栓形成阻止、抗酸化など |
ジンジャー | 消化促進、エネルギー代謝促進など |
唐辛子 | 食欲増進、血中コレステロール改善、脂質代謝促進など |
ローリエ | 消化促進、利尿など |
シナモン | 殺菌、消化促進など |
1つ1つの効果をよく見てみると、生活習慣病などから起こる症状や、高齢者の人に多い症状に作用するスパイスが多いことがわかります。
高齢者にカレーがおすすめな理由とは
高齢者に介護食としてカレーがおすすめな理由を3つご紹介します。
とろみ
カレーにはルウでとろみをつける場合が多く、嚥下に問題を抱えている人でも比較的難なく飲み込むことができるでしょう。
野菜がたっぷり
高齢者にとって不足しがちな野菜を介護食のカレーではたっぷり入れて煮込むことができます。
1つ1つの具を小さめに切ることで心理的な抵抗感も少なく、たくさんの種類の野菜を一度に摂取することができるのです。
栄養バランスが◎
シーフードを用いたカレーであれば魚と野菜とごはん、肉を用いたカレーであれば肉と野菜とごはんといった形で炭水化物、たんぱく質、脂質の三大栄養素はもちろん、ビタミンやミネラルといった他の栄養素もバランス良く摂取することができます。
おすすめの介護食カレーレシピ
カレーで人気のある豚肉に、人参・玉ねぎ・じゃがいもを用いてコンソメスープとゲル化剤でとろみをつけた介護食レシピをご紹介します。
材料(1人分)
・おかゆ(200g+ゲル化剤1g)
・ゆでた豚肉(30g+コンソメスープ23g+ゲル化剤0.24g)
・ゆでたじゃがいも(20g+コンソメスープ10g+ゲル化剤0.1g)
・ゆでた人参(20g+コンソメスープ10g+ゲル化剤0.16g)
・ゆでたたまねぎ(20g+コンソメスープ7g+ゲル化剤0.16g)
・カレールウ100ml
①豚肉・じゃがいも・人参・玉ねぎを下ゆでする
②ミキサーにおかゆとゲル化剤を入れて混ぜる
③おかゆを鍋に入れてひと煮立ちさせて器に入れ、固める
④じゃがいも、豚肉、人参、玉ねぎもおかゆと同じ手順で固める
⑤おかゆが固まったらカレールーをかける
⑥具を飲み込みやすい大きさに切り分けてカレールーの上に盛り付ける
嚥下に問題にある人でも飲み込みやすいため、本人の好きな具材で作るとよいでしょう。
まとめ
カレーは国民食と言えるほど人気のメニューであることと、スパイスの高い健康効果や高齢者に不足しがちな栄養素を豊富に含むことから、介護食では積極的に取り入れるのが望ましいとわかりました。
本人の好みや季節の具材、また辛さなども調整して介護食でも楽しくカレーを作ってみてください。