いきなりですが、皆様このようなお悩みを持ったことありませんでしょうか
「どうしても時間差でご飯を提供しないといけなくて、冷えたご飯を提供してしまっている…」
「冷えたご飯が美味しくないと利用者からクレームをいただいた…」
「家へのお持ち帰りを依頼されているが、冷えてて美味しくないとのお声をいただいた…」
実は上記のような「冷えたごはん」のお悩みは多くの介護施設様が持っており、対応に四苦八苦しているというのが現状です。
今回の記事では、冷えたご飯が美味しくない理由とその対処法を徹底解説いたします。
冷えたご飯が美味しくない理由
では、対策を考える前に「なぜ冷えたご飯が美味しくないか」を解説したいと思います。
栄養学的面から炊きたてのご飯と冷えたご飯の違いを比べてみましょう。前提として、お米の主な成分はデンプンであります。
このデンプンの性質として、加熱すると「αデンプン」の状態に変化し、炊飯前の「米」の状態や冷えたご飯は「βデンプン」の状態になります。αデンプンの性質として、「味が良い、消化しやすい、腐りやすい」といった声質を持っております。
一方でβデンプンの性質としては、「味が悪い、消化されにくい、腐りにくい」といった性質があります。
まとめるとαデンプンの状態は、食用に適している状態でβデンプンの状態は保存に適している状態であると言えます。
では、どのようにデンプンの性質は変化するのか。デンプンは加熱することでαデンプン、冷却し水分が飛ぶことでβデンプンの状態になり、これらの状態を行き来しております。
お米をご飯に調理するには、水を加え、加熱する必要があります。この工程を経ることで、デンプンは「糊化」し、αデンプンの状態に変化します。
また、デンプンですが、お米は主に2種類のデンプン「アミロース」と「アミロペクチン」からなっております。
お米の約2割を占める「アミロース」は、炊くとαデンプンになり、冷えるとβデンプンに変化するといった性質を持っているため、お米が冷え、水分が飛ぶと「まずい」と感じるようになるわけです。
βデンプン状態のご飯は、水分が飛んでおりボソボソとした食感になっていたり、香りがしない状態になっている場合が多いです。そういった理由から、冷えたご飯は美味しくないと感じる方が多いわけです。
「アミロース」
アミロペクチンとともにでんぷんの主成分の一つ。でんぷん成分の二〇~二五パーセントを占める。多糖類の高分子化合物。『精選版 日本国語大辞典』より参照
冷めても美味しいお米の炊き方
お米がまずく感じる理由がわかったところで、冷えても美味しくないご飯を炊くテクニックを紹介させていただきます。
用意するもの
・氷
・はちみつ、オリーブオイル、みりんなどの調味料
・おひつ
こちらの用意するものはすべてご用意できるのであれば理想的ですが、いずれか一つでも十分効果を発揮します。こちらの準備物を活用した「冷えても美味しいご飯の炊き方」を伝授いたします。
吸水編
まず、氷の活用方法としてお米に水を加える際に氷を投入すると美味しく炊き上がります。氷を水とともに炊飯器に入れ炊飯することで、お米の吸水性が上がります。
その理由として、氷を入れることで通常の炊飯と比較し、炊きあがるまでの時間が長くなり、お米がより多くの水分を吸水するといった効果が出ます。多くの水を吸水すると、お米に含まれるデンプンが柔らかくなり、その結果ふっくらとしたご飯に仕上がるといった仕組みです。
コーティング編
はちみつやオリーブオイルなどの調味料の活用方法として、炊飯する際に少量の調味料を投入することで、お米の保水性が上がります。その理由として、はちみつやオリーブオイルなどの調味料がしっかりとお米をコーティングして、水分を逃げにくくするためです。そのため、お米を炊飯したあとも水分が飛びにくくなり、βデンプンになりにくくなるといった効果が現れます。
保管編
おひつの活用方法としては、炊飯後の保管の部分にあります。お米を炊飯した際に、お米の周りに余分な水分がついてしまう場合があります。おひつに保管することで、おひつの木製部分がお米の表面についた余分な水分を吸収してくれる効果をもたらします。そのため、木がお米の表面の水分をコントロールしてくれる効果をもたらします。
では、具体的な分量としてどのような割合が適切なのでしょうか。
一例を挙げさせていただきます。
お米:3合
氷:150g分(水の適量の約4分の1)
水:450ml(水の適量から氷分を差し引いた分量)
はちみつ:大さじ1杯
このような分量で炊飯し、おひつで保管することで冷めても美味しいご飯を炊くことができます。
冷えても美味しいお米の種類
最後に、テクニックだけでなく冷めても美味しいお米の種類も知りたいという方向けに、いくつか冷えても美味しいお米の種類を紹介させていただきます。
前述した「アミロース」がポイントとなります。
アミロースが多いと、αデンプン、βデンプンの影響を受けやすいことから、冷えても美味しいお米としては「低アミロース」のお米が最適です。
「低アミロース」のお米は下記のような種類のお米が挙げられます。
これらのお米はすべて通常のお米と比べても「低アミロース」なお米なため、冷えても美味しいご飯が炊けるといった特徴があります。
まとめ
・冷えたお米が美味しくないと感じる理由
・冷えても美味しいお米の炊飯方法
・冷えても美味しいお米の種類
につきまして解説させていただきました。ご参考になりましたら幸いです。
紹介させていただいた手法や種類のお米以外にも自社に合ったお米の種類などお問い合わせいただけましたら、お米マイスターが選定させていただきます。ぜひお気軽にお問い合わせいただければと思います。