ごはんのおかずとしても軽めのおやつとしても楽しめる茶碗蒸しは、介護食としても使い勝手の良いメニューです。
この記事では茶碗蒸しを介護食として用いるメリットからおすすめレシピまで詳しく解説します。
和風のだしが効いた茶碗蒸し
茶碗蒸しは卵とだしを合わせ、具材を入れて蒸すというシンプルなレシピのメニューです。
入っている具材の定番としてはしいたけ、えび、ぎんなん、鶏肉、かまぼこ、三つ葉がありますが、地域性のある具材を入れることもあるのが特徴的だと言えるでしょう。
地域別に入れる具材の種類を表にまとめてみました。
地域名 | 具材 |
北海道・青森県・秋田県 | 栗の甘露煮 |
京都府 | すりつぶした豆腐 |
大阪府 | うどん |
和歌山県 | 梅 |
鳥取県 | 春雨 |
岡山県 | 餅とうどん |
広島県 | 牡蠣 |
香川県 | うどん |
福岡県 | 餅 |
介護食として高齢者の方の出身地の具材を入れたレシピで茶碗蒸しを作るのは、QOLの向上に役立つでしょう。
また味のかなめとなる卵とだしの割合ですが、基本は卵:だし=1:3が基本となるため、卵の個数とだしの量は表のようになります。
卵の個数 | だしの量 |
1個 | 180ml |
2個 | 360ml |
3個 | 540ml |
また固めの茶碗蒸しが好きな高齢者の方向けには卵:だし=3:5が基本となるため卵の個数とだしの量は次のように変化します。
卵の個数 | だしの量 |
1個 | 100ml |
2個 | 200ml |
3個 | 300ml |
逆に嚥下機能の低下などでやわらかめの茶碗蒸しを作る必要がある場合は卵:だし=1:4とするのが望ましいでしょう。
卵の個数 | だしの量 |
1個 | 240ml |
2個 | 480ml |
3個 | 720ml |
高齢者の方の好みや嚥下状況に応じて、自由にレシピを作り替えることができるのが茶碗蒸しの大きな魅力と言えるでしょう。
介護食でも、茶碗蒸し
介護食で茶碗蒸しを用いるメリットを3つご紹介します。
口あたりがなめらか
茶碗蒸しは卵のカラザを取らないで混ぜたり、ザルで濾さなかったりするとすが入る原因となり、口当たりの滑らかさが損なわれてしまいます。
しかし基本に即したレシピで作った茶碗蒸しはしっとりと滑らかで口当たりがよいため、高齢者の方の介護食としてはうってつけと言えるでしょう。
食欲は細くても手軽に栄養補給可能
茶碗蒸しは見た目がプリン1つ分程度の大きさで、カロリーも1人前140gで140kcalほどのため、決しておかずとしてボリュームがあるとは言えません。
しかし具材には野菜、魚介類、肉、卵が用いられているためビタミン、たんぱく質、脂質などが豊富に含まれており、意外と栄養バランスの良い食品なのです。
また見た目の小ささから、食欲のあまりない高齢者の方でも食べなければいけないというプレッシャーをあまり感じずに口に運ぶことができます。
これらのことから茶碗蒸しは高齢者の方にとって、介護食の中でも手軽に栄養補給ができるメニューだと言えるでしょう。
作りやすい
茶わん蒸しは卵をザルで濾したり、蒸し器で蒸したりする必要があることから介護食として作るのは難しい料理と思われがちですが、実はフライパンや鍋を用いても作ることができます。
またさらに手間を省きたい場合、電子レンジでも茶碗蒸しを作ることのできるレシピが存在します。
少し工夫をするだけで作りやすくなる茶碗蒸しは、介護食としても取り入れやすいと言えるでしょう。
おすすめの介護食茶碗蒸しレシピ
あまり具を入れないシンプルな介護食用茶碗蒸しのレシピをご紹介します。
材料(1人分)
・卵(1個)
・長ねぎ(1.5cm)
・鶏がらスープの素(小さじ1/2)
・ごま油(適量)
・しょうゆ(少々)
①スープの素はお湯1/4カップで溶いて冷ます
②ねぎは縦に切れめを入れ、開いて芯を除き、端からせん切りにして白髪ねぎを作って水にさらす
③白髪ねぎの水をきってごま油大さじ1/4としょうゆ大さじ1/2で和える
④卵を溶きほぐし、冷ましたスープを加えて卵液を作り、しょうゆ少々で調味する
⑤卵液をこして器に入れる。
⑥厚手の鍋に水3cmを入れて、ペーパータオルを敷いて器を並べ火にかける
⑦煮立ったら、弱火にして10〜12分蒸す
⑧蒸し上がった茶碗蒸しに白髪ねぎをのせて完成
このレシピではほとんど具を加えていないため、鶏がらスープをコンソメスープに、白髪ねぎをチーズやハムなどに置き換えた洋風の茶碗蒸しや、鶏ガラスープを中華だしに、白髪ねぎをチャーシューに置き換えた中華風の茶碗蒸しなどに簡単にアレンジできます。
高齢者の方が食べ飽きないよう工夫して、いろいろな介護食用茶碗蒸しを作ってみてください。
まとめ
茶碗蒸しは卵とだしを合わせ、具材を入れて蒸すというシンプルなレシピのメニューではありますが、介護食としては口当たりが良く、ボリュームの割には栄養豊富で工夫次第で作りやすくなるというメリットの大きいメニューであることがわかりました。
だしと具材の組み合わせ次第で飽きがこないようさまざまなにアレンジできるのと、地域によって異なる具材も楽しめるため、ぜひ積極的に介護食として取り入れてみてください。