高齢者の食事で便秘が改善する介護食レシピ

目次

高齢者の方が便秘に悩んでいるため、食事のレシピを工夫して改善につなげたいけれどどうもうまくいかないと悩んでいる人はいませんか?
この記事では高齢者が便秘になりやすい理由から便秘を改善するための食事レシピまで詳しく解説します。

高齢者になると胃腸の働きが鈍くなる


加齢により高齢者はさまざまな生体機能が変化しますが、消化・吸収機能の低下も見られます。
具体的には小腸や大腸の機能が低下して消化管が運動する時間や蠕動運動が減少して便秘を引き起こしやすくなるのです。
日本内科学会が発表した「慢性便秘症診療ガイドライン2017」では便秘の診断基準は次のように定められています。

「便秘症」の診断基準 「慢性」の診断基準
※以下の6項目のうち、2項目以上を満たす
①排便の4分の1超の頻度で強くいきむ必要がある
②排便の4分の1超の頻度で兎糞状便または硬便(BSFSでタイプ1か2)である
③排便の4分の1超の頻度で残便感を感じる④排便の4分の1超の頻度で直腸肛門の閉塞感や排便困難感がある
⑤排便の4分の1超の頻度で用手的な排便介助が必要である(摘便・会陰部圧迫など)
⑥自発的な排便回数が週に3回未満である
6ヵ月以上前から症状があり最近3ヵ月間は便秘症の基準を満たしていること

また厚生労働省が2019年に行った国民生活基礎調査の結果では、便秘の人が全体では34.8%なのと比較して、65才以上では68.6%となっており、高齢者では便秘にかかる人の割合が大きいことがわかりました。
高齢者は若い人と比較すると消化・吸収機能の低下が原因で便秘を引き起こしやすいため、食事レシピに工夫をして改善に取り組むのが望ましいと言えるでしょう。

参考:メヂカルフレンド社「新体系看護学全書老年看護学①老年看護学概論・老年保健」
参考:日本内科学会雑誌109巻2号「慢性便秘症診療ガイドライン2017」
参考:厚生労働省「2019年国民生活基礎調査」

排便の回数が低下


高齢者における平均的な排便回数とはどのようなものなのでしょうか。
そもそも排便回数は個人差が大きく、1週間に3回~1日3回といった形で幅があります。
このため高齢者施設においては排泄表をつけて管理を行い、便秘かどうか疑わしい際も個人の普段の排便の状況と比較して受診するかどうかを判断するのです。

具体的には次のような項目をチェックしています。
・便の回数
・便の色
・便の性状(硬便・普通便・軟便・泥状便・水様便など)
・血液が混じっていないか
・未消化便でないか

家庭においてここまで管理をするのは難しいですが、排便の状況は個人差が大きいためその人にとって回数が減少したり、排泄しにくくなったりした場合に便秘を疑うというのが望ましいでしょう。

膨満感でお腹がすきにくい

便秘の症状の中には腹部の膨満感も含まれるため、高齢者の方は言葉で訴えてこなくても食事量が少なくなるという形で現れる場合があります。
普段は食欲旺盛なのに食事を残してしまうことが多くなったら、便秘を疑って受診してみるのもよいでしょう。

介護食で胃腸の働きをよくするためには


高齢者の方が便秘で悩んでいる場合、介護食で胃腸の働きを良くするためにはどのようなことに気を付ければよいのでしょうか。
2つご紹介します。


適度にカラダを動かす

1つめは適度な運動を生活に取り入れることです。
運動の習慣がなく億劫がる人に対しては、毎日決まった時間にトイレに行き、座るということから始めるのもよいでしょう。
また元々運動を生活の中に取り入れている人には理学療法士の小澤英雄さんによって提唱された「排便体操」も有効です。
この体操は現在のADLに応じて臥位・座位・立位のそれぞれで行うことができるようになっているのが特徴的なため、身体を動かすのが好きな高齢者の方にはおすすめしてみましょう。

参考:排泄ケアナビ「高齢者のための排便体操」


腸の働きを高める食材を意識的に摂る

2つめは腸の働きを高める食材を意識して介護食に取り入れることです。
高齢者の方が積極的に摂取したい食材を表にまとめてみました。

食材の分類 働き 具体例
発酵食品 ・腸内の善玉菌を増やし腸内環境を整える ・ヨーグルト
・味噌
・納豆
・キムチ
・甘酒
食物繊維(不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を2:1) ①   不溶性食物繊維
・蠕動運動を活発にする

②   水溶性食物繊維
・消化吸収を穏やかにして血糖値の急上昇をおさえる

①   不溶性食物繊維

・ごぼう
・豆類
・きのこ
・こんにゃく
② 水溶性食物繊維
・海藻
・大根
・キャベツ
・芋類

オリゴ糖 ・蠕動運動を活発にし腸内の善玉菌を増やす ・豆類
・野菜類
・果物

便秘を予防するため、積極的に食事レシピに取り入れてみましょう。

おすすめの便秘が改善するための介護食レシピ

高齢者の方が便秘予防のために手間をかけずに食事に取り入れられるキムチ納豆のレシピをご紹介します。

材料(1人分)
・ひきわり納豆(1パック)
・キムチ(適量)
・韓国のり(適量)

作り方
①ひきわり納豆に付属のタレをかけ、キムチと混ぜ合わせる
②器に盛りつけて韓国のりを飾って完成

食事のボリュームが少ない時に1品増やす感覚で取り入れると使いやすいレシピです。

まとめ

高齢者の方が便秘になりやすいのは消化吸収機能の低下や排便回数の低下などが原因ですが、運動をしたり、腸の働きを高める食品を積極的に食事の際に摂取したりすることで改善が見込めるとわかりました。
ご紹介したレシピも参考にして、ぜひ高齢者の方が便秘を解消し快適に過ごせる工夫をしてみてください。

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