近年、新米の価格は大きく変化しています。特に令和6年産以降は、それまでの価格帯から一段高い水準となり、飲食店や給食、弁当・惣菜などで米を多く使用する事業者にとって、仕入れコストへの影響は無視できません。
農林水産省が公表している相対取引価格を見ると、令和3年産から令和5年産までは比較的緩やかな上昇でしたが、令和6年産から急激に価格が上がっています。
ここでは、過去5年間の新米・米価の推移を確認するとともに、価格が変動する理由と、業務用米を安定して仕入れるために押さえておきたいポイントを紹介します。
新米の価格はどう推移している?過去5年間の動きを見る
米価の動きを把握する際に参考になるのが、農林水産省が公表する「相対取引価格」です。これは、出荷業者と卸売業者などの間で取引された米の価格を示す指標で、運賃・包装代・消費税相当額を含む1等米の価格となっています。
過去5年間を見ると、特に令和6年産以降の価格上昇が目立ちます。
| 年産 | 年産平均価格(玄米60kg) |
| 令和3年産 | 12,804円 |
| 令和4年産 | 13,844円 |
| 令和5年産 | 15,315円 |
| 令和6年産 | 25,179円 |
| 令和7年産 | 36,803円※ |
※令和7年11月時点で公表された年産平均価格。
令和3年産~令和5年産は緩やかに価格が上昇
令和3年産の年産平均価格は12,804円/玄米60kgでした。その後、令和4年産は13,844円、令和5年産は15,315円となっています。
3年間で見ると価格は上昇していますが、1年ごとの上昇幅は約1,000~1,500円程度で、12,000~15,000円台の範囲で推移していました。
業務用米を使用する事業者にとっても、仕入れ条件の調整や使用する銘柄の見直しなどによって、ある程度対応しやすい価格変動だったといえます。
令和6年産は米価が大きく上昇
大きな転換点となったのが令和6年産です。年産平均価格は25,179円/玄米60kgとなり、令和5年産の15,315円から約9,900円上昇しました。
単純比較では約64%の上昇となり、それまで15,000円前後だった相対取引価格が、一気に25,000円台へ移行したことになります。
米を大量に使用する外食・中食・給食事業者では、わずかな単価上昇でも年間では大きなコスト増につながります。そのため、米価そのものだけでなく、使用量や提供量、商品価格まで含めた見直しが必要になってきました。
令和7年産も高値が続き過去5年で最高水準に
令和7年産では、令和7年11月時点の年産平均価格が36,803円/玄米60kgとなり、さらに高い水準となりました。
令和3年産の12,804円と比較すると約2.9倍です。5年間の推移を見ると、「毎年少しずつ高くなった」というより、令和6年産を境に価格帯そのものが大きく変化したことが分かります。
なお、相対取引価格は月ごとにも変動します。令和7年産についても、その後の取引では価格の動きが見られるため、仕入れを検討するときは最新の価格情報を確認することが重要です。

新米の価格が上昇・変動するのはなぜ?
米の価格は、単純に収穫量だけで決まるものではありません。生産量、需要、在庫、流通コストなど複数の要素が重なって形成されています。
業務用米の仕入れ価格を考える場合も、こうした背景を理解しておくと価格変動に対応しやすくなります。
収穫量や天候によって米の供給量が変わる
米は農産物であるため、猛暑や高温、台風、長雨などの天候条件によって収量や品質が左右されます。
数量が確保できていても、業務用として求められる品質基準を満たす米や、希望する銘柄の供給量が少なければ、条件に合う米に需要が集中し、価格が上昇することもあります。
在庫量と業務用・家庭用の需要が価格に影響する
米価を見るうえでは、その年の収穫量だけでなく、前年産米を含めた在庫量や販売状況も重要です。
家庭用、中食、外食など各分野の需要が増えれば、流通段階で確保できる米の量にも影響します。需給が引き締まるほど、取引価格は上がりやすくなります。
肥料・燃料・物流などの生産・流通コストも影響する
米を生産・販売するまでには、肥料や農薬、農業機械の燃料、乾燥・調製、包装、保管、輸送などさまざまな費用が発生します。
これらのコスト上昇も、最終的な米の仕入れ価格を押し上げる要因になります。
米価が変動する時代に業務用米を安定して仕入れるポイント
米価が大きく動く状況では、「できるだけ安い米を探す」だけでは安定した仕入れにつながりません。
価格・品質・供給量のバランスを見ながら、自社の用途に合った調達方法を考えることが大切です。
価格だけでなく用途に合った米を選ぶ
飲食店、弁当、寿司、給食などでは、それぞれ米に求める特性が異なります。
粘りや食感、冷めた後の食味、炊飯歩留まりなどを確認し、用途に必要な品質を満たす米を選ぶことが重要です。仕入れ単価だけでなく、炊飯後のご飯1食あたりのコストまで比較すると、より適切な判断ができます。
年間の使用量を把握して早めに仕入れを相談する
毎月どの程度の米を使用するのかを把握しておくことも、安定調達には欠かせません。
月間・年間の使用量や繁忙期を整理したうえで、早い段階から米卸会社へ相談することで、銘柄や数量、価格帯について選択肢を持ちやすくなります。
複数原料米も選択肢にする
特定の産地や銘柄だけに限定すると、相場上昇や供給不足の影響を受けやすくなります。
複数原料米であれば、用途に必要な食味や炊飯特性を維持しながら、原料の組み合わせを調整できる場合があります。
業務用では「銘柄名」だけで判断せず、実際の炊き上がりや価格、供給の安定性を総合的に比較することがポイントです。
まとめ
新米・米価の推移を見ると、令和3年産12,804円、令和4年産13,844円、令和5年産15,315円と緩やかに上昇した後、令和6年産は25,179円、令和7年産は令和7年11月時点で36,803円/玄米60kgと、大幅に価格水準が上昇しました。
こうした状況では、従来と同じ銘柄を同じ条件で仕入れ続けるだけでは、コスト増を吸収することが難しくなる可能性があります。
業務用米を安定して確保するには、価格だけでなく、使用用途、炊飯後の品質、年間使用量、供給の安定性まで含めて検討することが重要です。
米価が大きく変動している時期だからこそ、早めに米卸会社へ使用量や希望する品質、予算を相談し、自社に適した銘柄やブレンドを検討することが、安定した仕入れにつながります。


