「スマイルケア食」とは?

目次

農林水産省オフィシャルマーク

独立行政法人国立長寿医療研究センターが2013年に発表した、在宅療養高齢者の男女990名を対象に行った調査の結果によると低栄養の人が356名で36%を占め、低栄養のおそれがある人も335名で33.8%いることがわかりました。

この記事では高齢者の低栄養を解消し生活の質を高めることのできる、スマイルケア食とは何かを詳しく解説します。

参考:国立長寿医療研究センター「在宅療養患者の摂食状況・栄養状態の把握に関する調査研究報告書」

1.スマイルケア食とは


スマイルケア食とは、高齢者だけではなく噛むことや飲み込むことに課題がある人にも介護食を幅広く利用してもらうため、農林水産省による公募で選ばれた新しい介護食の愛称です。

介護食についての規格は日本摂食・嚥下リハビリテーション学会が提唱した「日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2013」や日本介護食品協議会が提唱したUDF(ユニバーサルデザインフード)などがありますが、これらの規格を使用しているのは介護施設でも3割程度に留まっていました。

そのためこれらの規格と整合性を持たせ、高齢者が在宅から施設へと行き来をしても食の選択をスムーズにできるようにしたのがスマイルケア食です。

参考:農林水産省「スマイルケア食とは具体的にどのようなものですか」
参考:一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下調整食学会分類2013」
参考:日本介護食品協議会「UDF(ユニバーサルデザインフード)ってなに?」

参考:東京都健康長寿医療センター「摂食嚥下機能低下者への介護保険施設等における食事提供 及び退院退所時等における連携の実態等、嚥下調整食の提供 のあり方に関する調査研究事業報告書」

a)スマイルケア食の目的

スマイルケア食の主たる目的は高齢者の食生活におけるQOLの向上ですが、介護食の市場拡大を通じて食品産業や農林水産業の活性化を図ることや日本国民における健康寿命の延伸なども目的とされています。


スマイルケア食は大きく分けて3種類、細分化すると8種類に分類できるためそれぞれの内容を表にまとめてみました。

スマイルケア食の分類 定義
スマイルケア食青マーク エネルギー及びたんぱく質の量が制度の基準(エネルギー100kcal以上、たんぱく質100g当たり8.1g以上)を満たしている
スマイルケア食黄マーク5 容易にかめる食品
スマイルケア食黄マーク4 歯ぐきでつぶせる食品
スマイルケア食黄マーク3 舌でつぶせる食品
スマイルケア食黄マーク2 かまなくてよい食品
スマイルケア食赤マーク2 少し咀嚼して飲み込める性状のもの
スマイルケア食赤マーク1 口の中で少しつぶして飲み込める性状のもの
スマイルケア食赤マーク0 そのまま飲み込める性状のもの


青マークは噛むこと、飲み込むことに課題はないけれども健康維持上栄養補給を必要とする人向けの食品、黄マークは噛むことに課題がある人向けの食品、赤マークは飲み込むことに課題がある人向けの食品だと言えるでしょう。

参考:農林水産省「スマイルケア食の取り組みについて」


b)スマイルケア食識別マーク

スマイルケア食には分類表でご紹介した分類ごとに識別マークがそれぞれ表示されていますが、識別マークを表示するための条件は次の通りです。

スマイルケア食の分類 条件
スマイルケア食青マーク 事業者自らがエネルギー及びたんぱく質の量がこの制度の基準を満たしていると宣言すること
スマイルケア食黄マーク そしゃく配慮食品のJASマークが付されていること
スマイルケア食赤マーク 特別用途表示許可制度のえん下困難者用食品の表示許可を得ていること


そしゃく配慮食品とは日本農林規格が定めた固さ・外観・食味などの条件を満たした食品で、えん下困難者用食品とは健康増進法で定められた飲み込むことに課題がある人向けの条件を満たした食品を指します。

各マークが表示されている食品の一覧は農林水産省で確認することができます。

参考:スマイルケア食(新しい介護食品)


2.介護食への取組


現在日本が取り組んでいる介護食への取り組みはどのようなことがあるのでしょうか。

2つの観点からご紹介します。



a)現状の問題点

農林水産省が介護食を新たな視点で捉え直し、スマイルケア食とは何かを定義づけたのが2014年11月ですが、2018年に東京都健康長寿医療センターが行った調査の結果によると一番介護施設に普及している「日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2013」の分類でも3割程度しか活用されておらず、現場への普及が進んでいないのが現状の課題と言えます。

そのため農林水産省では現場でスマイルケア食の普及活動ができる医師や歯科技師、ケアマネージャー、ヘルパーなどへの研修会の開催や教育ツールの作成を支援するなどして普及促進を図っているのです。

参考:東京都健康長寿医療センター「摂食嚥下機能低下者への介護保険施設等における食事提供 及び退院退所時等における連携の実態等、嚥下調整食の提供 のあり方に関する調査研究事業報告書」

b)スマイルケア食でみる、お米の使い方


日本人の食生活にとってお米は欠かせないものなので、農林水産省ホームページに掲載されているスマイルケア食の早見表には各分類におけるお米の状態が一目でわかるよう画像が掲載されています。

また識別マークが表示されている食品の一覧表を見てもお米の占める割合は大きく種類も豊富なため、お米を使用したスマイルケア食は今後も増加すると考えられます。

参考:農林水産省「スマイルケア食早見表」

3.まとめ


スマイルケア食とは、介護食を幅広く利用してもらうため農林水産省による公募で選ばれた新しい介護食の愛称ですが、2014年にできたばかりの新しい概念であるため、今後の普及活動が重要だとわかりました。

高齢者の人だけではなく噛むことや飲み込むことに課題のある人全てが食べやすい食品のため、ぜひスマイルケア食品を広く試してみてください。

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