日本米を輸出するときのルールとコメ海外市場拡大戦略プロジェクト
日本米の今後の輸出拡大が注目されていますが、輸出するには事前に届出が必要です。
また、植物検疫の問題などがあります。
輸出する際のルールと現在、国で取り組んでいる「コメ海外市場拡大プロジェクト」について紹介します。
食糧法では商業用米の輸出には事前に届出が必要
食糧法では、商業用に米を輸出する際には、事前に最寄りの農政局管内の窓口へ輸出数量の届出を行うことが義務付けられています。
届出を出さないで輸出することはできない状況です。
植物検疫では輸出先国の規制に応じて植物検疫証明書や輸入許可証などが必要
また、輸出先の国次第で植物検疫証明書添付や輸出先国の「輸入許可証」取得等が必要な場合があって注意が必要です。
植物等の輸入については厳しく、事前に農業担当当局または植物検疫当局の輸入許可がなければ、輸入が認められない場合があるため気を付けてください。
コメ海外市場拡大戦略プロジェクトで輸出に関する情報提供や支援を実施
そして現在、国によって、米の今後の輸出拡大のための「コメ海外市場拡大戦略プロジェクト」が進められています。
国や地域で異なる細かな輸入規制について情報発信を行ったり、輸出に取り組む業者・産地をマッチングしたり、相談サポートなどを行っています。
今後、輸出を考える場合にはこれらを利用するといいでしょう。
日本米は世界でどのように評価されているか?
実際に日本米は世界でどのように評価されているのかも知っておくことが大切です。日本米の美味しさは認められているものの、価格面で競争に弱い面があります。
そのため、国による「コメ海外市場拡大戦略プロジェクト」では、そうした海外のマーケット動向やニーズを発信しています。
日本米は粘り・甘み・香りの品質が高くて日本食レストランや富裕層に人気
様々な国で日本食レストランなどができるようになり、日本米の良さも知られるようになってきたと言えるでしょう。
日本米ならではの、粘り。甘み・香りが好評です。
コスト面では日本米は高いため、富裕層の外食や小売店での購入が人気です。
日本米は他国産の米に比べて価格が高く海外市場での価格競争に弱い
日本米を扱う日本食レストランなどは増えてきましたが、他の国の米に比べて価格が高いのがネックとなっています。
コスト面を考えると競争に弱くなっています。
また、輸出先によって状況は異なっていて、香港、シンガポールでは外食が盛んで米食の習慣があり、所得水準も高いため、日本米の大量消費が期待されています。
アメリカでは小売り中心で、日系小売店やアジア系スーパーに日本米が増加中です。
日本食レストランでも日本米が使われるようになってきました。カリフォルニア産ジャポニカ米の価格も高騰しているため、価格差が縮まってきている状況とも言えます。
コメ海外市場拡大戦略プロジェクトで海外マーケットの動向やニーズを発信
こうした各国の海外マーケットの動向やニーズの情報発信に国の「コメ海外市場拡大戦略プロジェクト」では力を入れています。
品目団体「一般社団法人全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会(全米輸)」からも、海外マーケットの動向について詳しい情報が発信されていることが嬉しいでしょう。
今後日本米の輸出を拡大するためにはどうすればいいか?
今後、日本米の輸出を拡大するためには、海外マーケットの動向やニーズを踏まえながら、米の産地と輸出業者が一体となった輸出の促進が望まれています。現在行われていることについても参考にしてください。
海外向けに日本米の特徴や魅力を伝えるイベントの開催
現在、輸出業者による様々な戦略的なプロモーションが各国で行われています。例えば、日本米の魅力を伝えるSNSによる情報発信や美味しさを伝える動画配信、フランスでは現地おむすび店での日本産米のPRなどが行われています。現地料理を日本産米で作るなどのプロモーションなども実施され、アメリカではパックご飯のプロモーションなども催されています。
コメ海外市場拡大戦略プロジェクトで戦略的輸出事業者と輸出基地が連携
そして、「コメ海外市場拡大戦略プロジェクト」では、海外への輸出拡大のため、質、量、価格で競争可能な米の産地を「輸出基地」とし、海外市場を開拓する「戦略的輸出事業者(卸、輸入商社、、メーカー)」と連携した活動が目指されています。
産地と輸出事業者が一体となることが、今後の日本の米の輸出拡大のためには重要なポイントです。
日本米の輸出における成功事例とは?香港やアメリカなどでの取り組み
日本米の輸出で成功している事例についてですが、香港やアメリカに多くの日本米を輸出していて、次のような取り組みが成功しています。
香港では日本米専門店や日本食レストランなどで日本米の需要が拡大
香港は外食が多く、日本食レストランも多くあります。日系レストランチェーン店などで日本米を使ってもらうことで、ここ数年需要が大きく拡大しています。
また、おにぎりや寿司などで「冷めても美味しい日本米」をアピールすることで、さらに需要拡大が期待されています。
アメリカでは日本酒や寿司などとセットで日本米を販売する戦略が成功
アメリカでは小売店などで日本米が多く販売されています。コシヒカリやあきたこまちの認知度が高くなっている状況です。
日本酒や寿司は有名ですが、これらとセットで日本米を販売して、日本の美味しさをアピールする戦略を実施。本格的な日本食の美味しさをセットでアピールして成功しています。
今後は真空包装のパックご飯やレストランでの美味しい日本米の炊き方などを指導することも方向性として考えられています。
コメ海外市場拡大戦略プロジェクトで海外需要開拓やプロモーションを支援
国による「コメ海外市場拡大戦略プロジェクト」も盛んに行われていて、海外バイヤーの招へいや試験販売などを行いながら、海外需要開拓やプロモーションを支援しています。日本米やコメ加工品の海外需要拡大のため、海外見本市に出展し、輸出事業者のサポート、民間事業者などによる海外販路の開拓・拡大を目指しています。
日本食の簡単レシピ動画による情報発信や地域の食体験などにも組み込んできています。
まとめ
日本の今後の米輸出を拡大する方法について見てきました。国も「コメ海外市場拡大戦略プロジェクト」で、輸出に関する情報提供をし、米の産地の輸出基地を作り、戦略的輸出事業者との連携を図る取り組みを行っています。
今後は、世界に日本米の美味しさを伝えて、多くの輸出拡大ができることが目指されていると言えるでしょう。
厳しい価格競争はありますが、今後日本米のブランド価値を高め、魅力をプロモーションし、コストも低コストを図っていくことで拡大が期待されています。
米の輸出は、産地と輸出事業者の連携が必要で、新たな海外市場を開拓し拡大していくことが必要です。パックご飯や精米の方法など様々な工夫をしながら、新しい海外市場を広げていく必要があります。