収穫の秋を迎え、お米の美味しい季節になると新米を少しでも美味しく食べたいと思う人が多いのではないでしょうか。
この記事では、新米を炊く前にどのような洗い方をすれば美味しい炊き上がりになるのかを詳しく解説します。
お米はなぜ洗う?
新米の洗い方について考える前に、お米はどのような構造をしているのか外側から順番に見てみましょう。
お米の構造を示す名称 | 概要 |
籾殻 | 米粒を守る外側にある固い殻 |
果皮 | 玄米の一番外側にある黒褐色の固い殻 |
種皮 | 胚乳と胚芽を包んでいる薄いフィルム状の皮 |
胚芽 | お米の芽と根の基になる部分 |
湖粉層 | 胚乳の表面を覆っている層 |
胚乳 | お米の芽や根の栄養分となる部分 |
新米は玄米や白米で食べる人が多いですが、玄米は上記のお米の構造のうち籾殻だけを取り除いたお米、白米は糠層(果皮・種皮・湖粉層・胚芽など白米にするにあたって取り除く部分の総称)を取り除いたお米のことを指します。
現代では籾から玄米にするために籾殻を取り除く籾すりの技術も、玄米の糠層を取り除いて白米にする精米の技術も昔と比較すると格段に向上しているため、お米にゴミや汚れが大量に付着した状態で市販される可能性はほぼありません。
お米を洗う目的
昔は白米であっても精米技術が低かったため糠が大量に米の表面についたままという状態が多く、それを丁寧に洗い流すためには、お米同士を強くこすりあわせて「研ぐ」という作業が必要でした。
しかし今では精米技術が進化したため、お米を洗う目的が白米の表面にうっすらと残っている肌糠や付着したゴミを洗い流し、少し米の表面に傷をつけて水を浸透しやすくするという目的へと変化してきていると言えるでしょう。
新米の無洗米は洗わなくてもOK?
新米の無洗米であっても小さなゴミや汚れが付着する可能性がないとは言えないため、一度水に通してこうした細かいものを洗い流すのが望ましいと言えます。
ひと手間で違う美味しくなる新米
新米は洗い方にひと手間かけることで美味しくなるため、そのポイントを段階別にご紹介します。
洗うならこの道具(ざる、ボールなど)
新米を洗う場合、炊飯器の内釜に新米をそのまま入れて洗っても大丈夫ですが、丁寧な洗い方をするならボールを使用するのも良いでしょう。
洗う水は水道水でOK?
ボールには洗うための水を張ってから計量済みの新米を入れますが、この時考えなければならないのは、お米は最初の水を一気に吸収するという特性があることです。
そのためこの最初の水には、ミネラルウォーターや浄水器の水を使用することをおすすめします。
水道水を使用するのが望ましくないということではありませんが、新米に水道水特有のにおいが移るのが気になる人は最初の水にはあまり水道水を使用しない方が良いでしょう。
またお米をボールに入れてから水を注ぐのは、ボールに水がたまる間に糠のにおいを吸収してしまうため避けるのが望ましいと言えます。
研ぎ方(洗い方)
新米の洗い方の手順をご紹介します。
①ボールにミネラルウォーターや浄水器の水を多めに張り、計量済みの新米を入れる
②手で約10秒新米を軽めに2~3回転させてすすぎ、糠のにおいを新米に吸収させないようにするためすぐに水を捨てる
③水がほとんどボール内にない状態とし、ソフトボールを握ったような形の手で同じ方向・スピードを維持しながら20回ほどかきまぜる
④かきまぜた後ボールに水道水を入れ、白く残った研ぎ汁を捨てる
お米をかきまぜる時は、力を入れすぎると新米の粒が割れてしまうので気を付けて行うようにしましょう。
そして炊飯器の内釜やボールに水を張った状態でかきまぜる人もいますが、これでは新米同士の摩擦が起きず、表面に傷をつけて水を吸収しやすくするという目的が果たせないため、水は捨ててからかきまぜた方が望ましいと言えます。
全体を通して新米の洗い方は手早く行うのが一番のコツと言えるでしょう。
水換えのポイント
新米の洗い方においてはかきまぜた後ボールに水を入れて研ぎ汁を捨てますが、この水を取り替えるのは何回行うとよいのでしょうか。
おすすめの回数は2度水の交換を行い、合計3度洗うことです。
目安としてはうっすらと新米が透けて見える程度に水が澄んでくることです。
もし何度も水を換えて洗うのを繰り返してしまうと、せっかくの新米の栄養価が流れ出てしまうのはもちろん、旨味や甘味も水の中に捨ててしまうこととなります。
そのため水が透明になるまで洗うのは、美味しい新米を食べるためにも避けるようにしましょう。
まとめ
新米の洗い方は、白米の表面にうっすらと残っている肌糠や付着したゴミを洗い流し、少し米の表面に傷をつけて水を浸透しやすくするという目的に沿って、手早く行い洗いすぎないことが大切だとわかりました。
実りの秋に収穫された新米の美味しさを心行くまで楽しむためにも、ぜひ洗い方にはひと手間かけてみてはいかがでしょうか。