コメの輸出届け出制度とは?
最近では日本食や日本のお米の美味しさが人気となっていることから、お米を輸出する機会も増えています。お米を輸出する際には届け出が必要で、輸出規制がされていますので、詳しく知っておくことが必要です。
食糧法の規定
お米の輸出に関しては、農林水産省の食糧法の規定に基づいて届け出が必要です。
「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」(新食糧法)の第47条及び第48条で、届け出について書かれています。
食糧法は、日本の主食の米穀や麦について生産者から消費者までの適正かつ円滑な流通を確保するための措置、及び政府による主要食糧の買入れ、輸入及び売渡しの措置などを総合的に行う規定です。日本にとって、主要食糧の需給や価格の安定を図るための規定となっています。
輸出する場合は、事前に地方農政局などへの届け出が必要
お米を販売する目的で輸出する場合は、事前に地方農政局への輸出数量の届け出が義務付けられています。
コメ加工品については、届け出の必要はありませんが、お米の輸出の届け出を行わなわなかったり、虚偽の届け出をしたりした場合、20万円以下の過料も必要となるため注意してください。
なぜお米の輸出届け出は必要なのか?
なぜ届け出が必要なのかですが、目的としては次のようなことが挙げられます。コメの流通量把握のためと、輸出国の植物防疫条件があるため、それに対応した届け出制度を設けています。
国内のコメ需給の安定のためコメの流通量を把握することが目的
米の輸出に関しては、輸出数量を届けることで、全体のコメの流通量を把握することが目的です。現在のところは、お米がとても余っているため、輸出を促進していますが、大きく輸出数量が増えて、コメの需要に影響が出ないようにするためともなっています。
輸出先国の植物防疫条件に対応
お米の輸出先は主にアジアやアメリカが多いのですが、輸出する際にはそうしたそれぞれの輸出国の植物防疫条件に対応することが大切です。
植物防疫条件とは、海外から植物の病害虫の侵入を防ぐための規制となっていて、国・地域によって異なるため、それぞれの国の輸入条件を調べて対応する必要があります。
届け出にすることで、どこに輸出しているのか、農水省でも把握できるようになっています。
輸出届け出制度の対象となるお米とは?
どのようなお米が輸出届け出制度の対象となるのかですが、販売目的となるお米は全て対象ですので、詳しく見ていきます。
国産米や外国産米を含むすべてのコメで届け出が必要
輸出する際に届け出が必要なお米は、国産米、外国米問わずに、輸出して販売をするお米です。
個人的に食べるために携帯したり、外国人観光客がお土産などで購入して持ち帰ったりする場合は、届け出が必要ないでしょう。あくまでも販売を目的とした場合、営業目的に輸出する場合に届け出が必要となります。
輸出届け出制度の手続きとは?
実際に届け出をする際の手続きについても具体的に流れを紹介しますので、参考にしてください。
輸出する際には事前に届け出をする必要があり、国や地域などによっても規制がありますので、知っておいてください。
輸出予定日の1か月前までに地方農政局や都道府県庁などに届出書を提出
輸出予定日の1か月前までにそれぞれの地方農政局や都道府県庁などに書面で届け出を出す必要があります。
「米穀の輸出に関する届出書」に簡単な記載をして出すだけですので、届け出自体は簡単です。
下記の農林水産省のホームページより「届け出用紙」がダウンロード可能です。
参照:農林水産省
輸出者名、輸出先国名、輸出数量、品種名、生産地名などが必要
輸出者名、輸出先国、輸出の時期、輸出国名、輸出数量、用途、品種名、生産地名などを書きます。
また、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴い、放射能検査証明や産地証明等が必要な国や地域がありますので、確認してください。
中国への輸出については、指定精米工場での精米と登録くん蒸倉庫でのくん蒸が行われていることなどの特別条件も必要です。
さらに、もみの状態で輸出することも多いのですが、もみの場合は、品種や相手国により育成者権者の許諾が必要な場合もありますので、下記の農林水産省のホームページから海外での育成者権取得に関する情報、海外出願マニュアルを各国別にチェックしてください。
参照:農林水産省HP
まとめ
お米の輸出規制について紹介しました。
輸出をする際には、それぞれの地方農政局などに1ヶ月前に届け出が必要ですので、知っておいてください。
また、輸出する国によって植物防疫条件などがあります。
特別な条件などが必要な場合もありますので、事前によく規制条件なども確認をして輸出を行うようにしてください。