日本のお米は美味しいので、海外でも広く味を知ってもらい、さまざまな料理に活かしてほしいと考えている人はいませんか?
この記事では日本米の海外における人気の現状から、今後の日本米の輸出販売についてまで詳しくご紹介します。
日本米のファンは海外でも多く存在します。
その背景には繊細な日本食の盛り付けの美しさ、低カロリーで栄養価が高いので健康志向な人に望まれていることが大きく関係しています。
海外では和食ブーム
海外では和食ブームだと言われていますが、なぜこのようなブームが起きたのでしょうか。
要因を2つご紹介します。
日本食レストランの増加
海外での和食ブームを後押ししているのが日本食レストランの増加です。
2017年と2019年の各国における日本食レストランの件数を比較して表にまとめてみました。
2017年 | 2019年 | |
欧州 | 約12,200店 | 約12,200店 |
ロシア | 約2,400店 | 約2,600店 |
北米 | 約25,300店 | 約29,400店 |
中東 | 約1,000店 | 約1,000店 |
アジア | 約69,300店 | 約101,000店 |
アフリカ | 約350店 | 約500店 |
オセアニア | 約2,400店 | 約3,400店 |
中南米 | 約4,600店 | 約6,100店 |
全体では2017年の約11.8万店から2019年には3割増加し、約15.6万店にまで拡大しているのです。
参照:農林水産省「海外における日本食レストランの現状について」
人気を後押しする「日本米」
日本食レストランの人気をさらに高めたのが現地における日本米の採用です。
例としてアメリカ・ニューヨークの日系日本食レストランチェーン店で、2019年9月~2020年1月に精米約13トンを使用して日本産米フェアを開催して顧客にカリフォルニア米と日本産米の食味を比較してもらった所、ごはんが美味しくなったとの評価を得ただけではなく、売上も向上しました。
日本産米フェア終了後もこの日本食レストランチェーンでは引き続き日本産米を使用し、日本からは年間約60トンの輸出が行われているのです。
日本米の輸出量が右肩上がり
日本食レストランの人気を支える日本米ですが、海外への輸出量の現状や輸出後の使われ方についてはどのようになっているのでしょうか。
それぞれご紹介します。
2021年の米の輸出実績は前年比15%増の2万2833t。初めて2万t超え
農林水産省が2022年7月に公表した商業用米の輸出実績は次の通りです。
2017年 | 2019年 | 2021年 | |
フランス | 61トン | 93トン | 173トン |
ロシア | 78トン | 174トン | 227トン |
カナダ | 92トン | 158トン | 210トン |
アラブ首長国連邦 | 18トン | 55トン | 96トン |
香港 | 4,128トン | 5,436トン | 8,938トン |
オーストラリア | 476トン | 770トン | 893トン |
アメリカ | 986トン | 1,980トン | 2,244トン |
ドイツ | 62トン | 140トン | 185トン |
輸出合計 | 11,841トン | 17,381トン | 22,833トン |
日本食レストランの店舗数が増加している国はもちろんですが、それ以外の国への輸出も増加していることが見て取れるため、世界で日本米の人気が高まっていると言えるでしょう。
参考:農林水産省「米の輸出について」
日系の小売・外食チェーンの進出で日本米の取り扱い増
日本で人気の外食チェーンを見てみると元気寿司、スシロー、松屋、やよい軒などは次々に海外進出し、和食のマーケットを広げるのに一役買っています。
例として「おむすび権兵衛」を運営している株式会社イワイは、日本米の輸出を目的としてアメリカとフランスに店舗展開をしました。
将来的に1,000店舗を展開するのを目標とし、国内外の店舗を問わず店で使う全てのお米は生産者と直接契約をしているのです。
株式会社イワイにおけるアメリカとフランスへのお米の輸出量は次の通りです。
2017年 | 2019年 | |
アメリカ | 30.7トン | 45.9トン |
フランス | 6.3トン | 18トン |
両国への輸出量がその後わずか2年間で大きく増加しているのがわかります。
参考:農林水産省農産企画課「米の輸出をめぐる状況について」
日本米の輸出販売
今後の日本米の輸出販売は、どのような展開が予想されるのでしょうか。
海外の日本米への需要と輸出の方法についてご紹介します。
年々高まる日本米の需要
日本米が現在多く輸出されている国においては、日本米に対する需要の内容に次のような違いがあることがわかっています。
国名 | 需要の内容 |
香港・シンガポール | ・中食(おにぎりや寿司)や外食(日本食レストラン)が需要の主体で年々増加傾向にある |
アメリカ | ・日系小売店での精米販売が需要の中心だが日本食レストラン向けも少しずつ増加している |
台湾 | ・小売店(精米販売)向けと外食(日本食レストラン)が拮抗していたが、2020年は日系チェーンの進出を背景に日本食レストランの需要が増加した |
中国 | ・小売店(精米販売)やインターネット販売が需要の中心 |
これらのことから海外における日本米へのニーズは国によって大きく異なるため、今後はそれぞれのニーズに応えられる体制作りが求められると言えるでしょう。
日本産米を玄米で輸出、現地で精米
お米は精米した後は少しずつ品質が低下していくため、輸出をする場合現地の消費者に届くまでにどのような方法で品質を落とさないようにするかが課題の1つでしたが、日本産米を玄米で輸出し、現地で精米することによって品質が維持できるようになりました。
また精米したお米に対しては真空包装を導入することで品質を安定させるという施策も行われています。
海外でも美味しい日本米をお届けできますのでご安心ください。
参考:農林水産省「米の輸出について」
農林水産省チャンネル「日本産米を世界へ」
まとめ
日本米は海外での和食ブームや日本発の外食チェーン店の海外展開を背景にその人気が向上してきているため、輸出販売に取り組むには良いタイミングだと言えるでしょう。
この記事も参考にして、ぜひ積極的に海外で日本米をPRしてみてください。