介護食の種類にソフト食があると知ったけれど、具体的にどのような固さの食事なのか、また調理方法がわからず困っている人はいませんか?
この記事では介護食におけるソフト食の定義から基本の作り方まで詳しく解説します。
ソフト食とは
ソフト食とは管理栄養士の黒田留美子氏によって1994年から開発され、当時介護の現場でよく用いられていた「刻み食」「ミキサー食」とは異なる食形態として提案されました。
具体的には食材を1つずつ個別にミキサーにかけ、固め直して作ります。
食事の原型を残しているので、見た目から食事を楽しむことができるのが特徴的と言えるでしょう。
介護食の1つ
ソフト食は介護食の1つであり、軟菜食と比較するとやわらかくて消化しやすく、口の中でまとまりにくく誤嚥を起こしやすい刻み食、料理の具材がわからずあまり美味しくないミキサー食のデメリットをカバーできるのが大きなメリットと言えます。
またお皿に料理を盛り付けた際の見た目や形が通常食に近いため、高齢者の方でも比較的抵抗なく口にすることができるのです。
ユニバーサルデザインフードではひとつの区分
2015年に「スマイルケア食普及推進会議」が開催された際に、既存の介護食における民間規格を統一的に分類することとなりました。
ソフト食とユニバーサルデザインフードの対応表は次の通りです。
高齢者ソフト食 | ユニバーサルデザインフード |
高齢者ソフト食1 | 区分1 |
高齢者ソフト食2 | 区分2 |
高齢者ソフト食3 | 区分3 |
介護食の分類についてより詳細に知りたい場合は、農林水産省のホームページで確認してみることをおすすめします。
柔らかく調理した食事
ソフト食は柔らかく調理してありながらもしっかりと形があり、見た目や香りを楽しみながら食べることができます。
また刻まずつなぎなどでまとまっているため、高齢者の方にありがちな誤嚥や食べこぼしも防いでくれるのです。
舌や歯茎でつぶせる固さ
ソフト食は豆腐程度の固さであるため、高齢者や噛むことに問題のある人でも舌や歯茎で容易につぶすことができます。
また滑りが良いためつぶした後も喉へと通りやすく、飲み込みやすいでしょう。
「ソフト食」基本の作り方
ソフト食の基本的な作り方のポイントは次の7つです。
・野菜は繊維が少ない食材を選ぶ
・繊維のある野菜は繊維と直角に切る
・肉・魚は脂分の多い部位を選ぶ
・汁物には片栗粉やゼラチンでとろみをつける
・オリーブオイル、ごま油、バターなどを適量用いる
・つぶした食材同士のつなぎに卵や片栗粉、油を活用する
・舌でつぶせる程度の固さにする
これらのポイントを踏まえて、ソフト食を作る一般的な手順をご紹介します。
①通常食を作る
②通常食を具材ごとに分け、ミキサーで回す
③さらに増粘剤や片栗粉などを加えて、ミキサーを回す
④③の食材にゲル化剤を入れて弱火にかけ、固まり始めたら容器に流し込むかラップに包むなどして型を取る
⑤④を冷蔵庫で冷ます
⑥固まったのを見計らってお皿に盛りつける
ソフト食、おすすめレシピ「お好み焼き」
行事食としても人気がある「お好み焼き」のソフト食レシピをご紹介します。
材料 (1人分)
・長葱(12g)
・人参(12g)
・山芋(50g)
・ブラックタイガー(30g)
・はんぺん(45g)
・アボカド(25g)
・玉子(1/2個)
・片栗粉(大さじ1)
・塩(適量)
・みりん(大さじ1/2)
・だしの素(小さじ1/2)
・薄口醤油(小さじ1/2)
・ゴマ(小さじ1/2)
・胡麻油(小さじ1)
・大葉(3枚)
・白だし(25cc)
・水(小さじ1)
①ブラックタイガーは下処理をし、食材をミキサーに入れて回す
②フライパンに胡麻油を入れて熱し、ミキサーにかけた食材を流し込む
③大葉3枚を食材の上に置いて軽く押さえ、ふたをして弱火でじっくり火を通す
④火が通った頃合いを見計らってひっくり返し、弱火でふたをして更に焼く
⑤焼き目がついたら皿に盛りつける
⑥白だしに水を入れレンジで1分間温める
⑦温かい白だしをはけを用いてかけるようにぬって完成
お好み焼きでは通常ソースや青のり、かつおぶしなどを用いますが、高齢者にはソースは胸やけしやすいのと、青のりやかつおぶしは飲み込みにくく誤嚥する可能性があるため、介護食には向かないと言えます。
そのためこれらはあらかじめ材料から抜き、よりソフト食として食べやすさを追求しているのです。
またソースの代わりに白だしを温めたタレを用いて、明石焼き風の味に仕上げているのもポイントです。
家族や親せきの集まりの際などに作ると、高齢者の方も楽しく会食ができるレシピです。
まとめ
ソフト食とは介護食の1つで、口の中でまとまりにくく誤嚥を起こしやすい刻み食、料理の具材がわからずあまり美味しくないミキサー食のデメリットをカバーできる食形態として今では介護の現場でも広く用いられています。
高齢者の方の噛む力や飲み込む力が低下しても食べる楽しさを維持し、QOLの向上を目指すためにもぜひ積極的にソフト食を活用してみてください。