高齢者の方に食べる楽しみを感じてほしいので、おやつを提供したいと考えているけれど、介護食でもおやつを出してよいのかどうか迷う人は多いのではないでしょうか。この記事では介護食におけるおやつの位置づけとおすすめレシピをご紹介します。
いくつになっても「おやつ」は嬉しい
年齢に関係なく、好きなおやつには心ときめくという人は多いのではないでしょうか。食べる楽しみや人とのコミュニケーションを生み出してくれるおやつを介護食にも取り入れるのは決してまずいことではありません。介護食におけるおやつの役割には次のようなものがあります。
①食べる楽しみを生み出す
介護食におけるおやつは通常の食事とは異なる見た目や食感があるため、食べる楽しみを引き出してくれるでしょう。食生活が単調になると、高齢者の方は食べることへの意欲自体を失ってしまう場合があります。しかしおやつを定期的に提供すると食卓に変化をもたらすことができるので、食事への関心は薄れにくくなります。レシピをさまざまに工夫すると、高齢者の方のQOLも向上するでしょう。
②食事だけでは摂れない栄養素を補給する
朝食、昼食、夕食だけでは摂取しきれない栄養素を介護食のおやつで補うことができます。しっかりとカロリー計算し栄養バランスを考えて食事を作っていたとしても、高齢者の方が全量摂取せず残してしまえば、3食では足りない栄養素が出てきてしまうでしょう。低栄養状態から来るフレイルを予防するためにも、介護食としておやつを取り入れるのは望ましいことだと言えます。
③コミュニケーションを生み出す
家庭で食べるおやつでも、施設で食べるおやつでも美味しいものは周囲の人とのコミュニケーションを生み出すことが多いのではないでしょうか。
雑談を楽しみながらおやつを食べることで、心の健康を維持するのにも役立ちます。
介護食でおいしいおやつ
介護食で美味しいおやつを提供するためには、レシピにどのような工夫をするのが望ましいのでしょうか。
2つご紹介します。
砂糖の代わりにはちみつをつかうことも
介護食でおやつを作る際は、砂糖の代わりにはちみつで甘味をつけるのがおすすめです。文部科学省が公表している食品成分データベースでお菓子作りによく使用される上白糖とはちみつの栄養価を比較してみると、上白糖は炭水化物以外の栄養素がほぼ含まれていないのですが、はちみつは多岐に渡る栄養成分を含んでいるのがわかります。
はちみつに含まれる主な栄養素とその効果を表にまとめてみました。
栄養素の分類 | 栄養素 | 効果 |
ミネラル | ・ナトリウム ・カリウム ・カルシウム ・マグネシウム ・リン ・鉄 |
・身体の組織を作る |
ビタミン | ・ビタミンC
・ビタミンB1 |
・疲労の緩和 ・風邪予防 ・皮膚の健康維持 |
アミノ酸 | ・バリン ・アルギニン ・ロイシン ・イソロイシン |
・体脂肪の燃焼 ・スキンケア |
ポリフェノール | ・カフェ酸 ・P-クマル酸 ・フェルラ酸 ・クリシン |
・抗酸化作用 |
有機酸 | ・グルコン酸 | ・便秘改善 |
介護食のおやつにおける砂糖をはちみつに置き換えるだけで、このようにたくさんの効果が期待できるのです。
ぜひ積極的にはちみつを活用したレシピでおやつを作成してみてください。
やさしい甘さの和菓子も◎
介護食のおやつには、優しい甘さの和菓子もよいでしょう。日本の年中行事はひな祭りの桜餅、こどもの日の柏餅など和菓子とともに楽しむものが多いため、行事食としておやつを食べることができます。
また和菓子はあずきを使用したあんが用いられていますが、はちみつに負けず劣らず栄養価が高いのです。
栄養素 | 効果 |
タンパク質 | 身体を作る |
食物繊維 | 便秘予防 |
鉄 | 貧血予防 |
サポニン・カリウム | 利尿作用・むくみ軽減 |
和菓子には高齢者の方が積極的に摂取したい栄養素がたくさん含まれているため、介護食のおやつとしてとてもおすすめです。
おすすめのおいしい介護食おやつレシピ
かぼちゃとあずきを用いて栄養豊富なかぼちゃの白玉団子のレシピをご紹介します。
材料(10個分)
・白玉粉(75g)
・かぼちゃ(75g)
・水(70ml)
・ゆであずき(適量)
作り方
①耐熱容器に皮をむいて細かく切ったかぼちゃを入れ、ふんわりとラップをして3分間加熱しつぶす
②ボウルに白玉粉と水を少しずつ入れて混ぜ合わせる
③かぼちゃを入れて、耳たぶの固さになるまで混ぜて10等分し丸める
④鍋に水を沸かして団子をゆでて、浮いてきたら2分後に取って水につける
⑤熱が取れたらざるに上げて水気をきる
⑥ゆであずきと一緒にお皿に盛りつけて完成
お菓子作りにはたくさんの材料や道具が必要なイメージかもしれませんが、このレシピは家にあるもので作ることができるのがメリットです。
まとめ
介護食のおやつは高齢者の方にとって単調になりがちな食生活に彩りを加え、栄養補給やコミュニケーションにも役立つ楽しいものであることがわかりました。
ぜひこの記事も参考にして、さまざまなレシピでおやつを作ってみてください。