YouTubeやSNSの動画で作り置きレシピの配信が流行っているけれど、介護食でも作り置きをしていいのかどうか迷っている人はいませんか?
この記事では作り置きレシピを介護食に取り入れた時のメリットからおすすめレシピまで詳しく解説します。
親のために作り置き!「親つく」が話題
「親つく」とは親に作り置きの料理を届けることを指し、2018年に刊行された料理研究家林幸子さんの著書「介護じゃないけどやっぱり心配だから 親に作って届けたい つくりおき」の本の中で提唱されました。
内閣府が2021年に発表した「令和3年版高齢社会白書」によると65歳以上の一人暮らしの人は男女ともに増加傾向にあり、1980年には男性約19万人、女性約69万人で、65歳以上の人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%でしたが、2015年には男性約192万人、女性約400万人となり、65歳以上の人口に占める割合は男性13.3%、女性21.1%となっています。
一人暮らしは高齢者の方の孤食につながることから、その弊害である一品食い、栄養失調、食欲不振などを生み出してしまう可能性があります。林幸子さんは孤食の弊害をなくそうと、20年以上実家の母親、夫の母親双方に作り置きした料理を届け続けているいわば親つくのエキスパートとも言える存在です。
林さんが本の中でおすすめしている親に食べてもらうための工夫は次の4つです。
・衛生面とふたの開けやすさに配慮して使い捨ての容器で届ける
・食べきりサイズでプレッシャーをかけない
・簡単に温められるようにする
・マスキングテープにレンジの分数やメニュー名、賞味期限を書いて貼り付けわかりやすくする
これらのことを踏まえた高齢者の方が食べやすいレシピがたくさん掲載されているため、介護食を作っている人はぜひ1度目を通してみてください。
参考:林幸子「介護じゃないけどやっぱり心配だから 親に作って届けたい つくりおき」
参考:内閣府「令和3年版高齢社会白書(全体版)」
介護食で作り置きのメリット
親のために介護食を作り置きして届けるメリットを3つご紹介します。
調理する時間を合理的に
作り置きレシピであれば、時間にゆとりがあるときにまとめて調理を行うなどの工夫ができるため、時間を合理的に活用することができます。
介護食の場合、食形態によっても異なりますが通常食よりもある程度時間をかけて調理することが必要なため、時間を有効活用できるのは大きなメリットだと言えるでしょう。
離れたところから作って送れる、届ける愛
東京ガスのCM「がんばれ私たち」篇では、主人公の女性に祖母のメッセージつきの作り置きおかずとスマホで撮影した動画を父親が届けに来て、それを食べながら女性が涙し、ついに自分の舞台女優と主演の夢をかなえるまでが描かれています。
若い時にこのような経験をした人が多いからこそ、このCMを見て感動したり、涙したりする人が多いのですが、今度は自分が家族の気持ちを理解した上で離れた場所から作り置きのおかずを届けることができるというのは幸せなことではないでしょうか。
適切な距離感を保ちながらも、家族の絆を深めることができるのが作り置きレシピで介護食を届けるメリットです。
食べたいときに手軽に美味しい
作り置きのおかずであれば、高齢者の方が今すぐ食べなければといったプレッシャーを受けずに自分のペースで食事を楽しむことができます。
また手間をかけずに栄養バランスの良い食事を摂れるため、QOLの向上にもつながるのがメリットだと言えるでしょう。
介護食作り置きするための4つの注意
- 汁気のあるおかずの場合、全体がオイルや汁に漬かるようにする
- 汁気のないおかずの場合、傷む原因となる汁気を充分にとっておく
- なるべく空気に触れないように密閉する
- 冷めてから容器にうつす
おすすめの介護食作り置きレシピ「味噌玉」
食卓に一品おかずを追加したい際にも、小腹がすいた時にもお湯を注ぐだけで味噌汁ができて便利な「味噌玉」のレシピをご紹介します。
材料(味噌汁5~6杯分)
・味噌(大さじ4)
・粉かつお(大さじ1)
・塩蔵わかめ(10g~15g)
・長ねぎ(10cm)
①ボウルにみそと粉がつおを入れ、ゴムベラやスプーンでよく練り混ぜみそベースを作る
②塩蔵わかめを洗ってすぐに水気をしぼり、幅5mm~1cm程度に切る
③長ねぎを縦八つ割りにし、端から幅5mm~1cm程度に切る
④ボウルにみそベースと塩蔵わかめ、長ねぎを入れてゴムベラやスプーンで再度練り混ぜる
⑤混ざったら6等分し、ラップで茶巾にしぼって包む
⑥ワイヤー入りのビニタイなどで結んで閉じ、保存容器に入れて完成
味噌玉は冷蔵庫で保存して約2週間持つため、介護食としても使いやすいと言えるでしょう。
まとめ
作り置きレシピを介護食として親に届けることを「親つく」と呼びますが、調理時間を節約できるのに手軽に食べることができ、家族との絆も深めることができるとわかりました。
1日3食を全てまかなおう、作ったものは全て食べてもらおうと気負う必要はなく、自分の分を作るついでといった気軽な気持ちで始めるのがコツです。
離れた場所からでもできる親孝行とも呼べる「親つく」をまずはできる範囲で始めてみませんか。
参考動画 あると嬉しい。常備菜作り置きレシピ10選