無洗米以外のお米を炊く前には、お米を洗うことが一般的ですが、面倒だと感じる方も多いのではないでしょうか。
お米を洗わないと汚いのか、洗わずに炊いたら味が変わるのかなど、不安や疑問を抱く方もいるでしょう。
そこで、お米を炊く前に洗う理由や、洗わなかった場合のデメリットを紹介します。
また、お米を「洗う」と「研ぐ(とぐ)」の言い方の違いに関してもチェックして、おいしいお米を炊くための参考にしましょう。
お米を洗うのはなぜ?理由は
精米されていればきれいなため、洗う必要がないと考える方も多いでしょう。
しかし、無洗米以外のお米は洗って炊きますが、なぜ洗う必要があるのでしょうか。
そこで、お米を洗うことの目的や理由を紹介します。
臭みの原因となる糠や汚れを落とす
お米を研ぐ理由は、糠(ぬか)と呼ばれる臭みの原因や汚れを除去して、おいしく炊くためです。
しかし、精米技術は進化しており、基本的に目立った汚れや糠は残らず、長い時間しっかりと研がなくてもおいしく炊き上がります。
そのため、研ぎ過ぎないように注意が必要です。
ふっくらと炊き上げるため
お米を洗うと、汚れや糠を除去するだけではなく、お米の表面に小さな傷がつくため水分が染み込みやすくなります。
お米が水分を吸い込むことによって、ふっくらと炊き上がることも、お米を洗う理由のひとつです。
研ぐと洗う、どう違う?
お米は水で炊くだけで調理できますが、非常にシンプルな調理法のため炊き方で味が大きく変わります。
お米を炊く際に研ぐ必要がありますが、お米を研ぐ工程も味が大きく変わる重要なポイントです。
お米は、「洗う」と言われることもありますが、「研ぐ」と表現するのが正しいとされています。
お米を「研ぐ」と「洗う」には、どのような違いがあるのでしょうか。
「研ぐ」=お米同士をこすり合わせて糠をとる
お米は水で「洗う」と言われることが増えましたが、「研ぐ」と表現することもあります。
異なる表現をする理由は、精米技術が関係しています。
昔は精米技術が低く、お米の表面についている糠をすぐに除去できませんでした。
糠がついた状態のお米は味が悪かったり独特のにおいがしたり、日持ちがしなかったりといったデメリットがあります。
糠は軽く洗うだけで落とせるのではと考える方もいますが、油分が多いため水で洗うだけでは除去できません。
油分が多い糠をしっかり除去するためには、水の中でお米をこすり合わせるように動かしたり、握ったりして取る必要があるのです。
そのため、お水は「洗う」のではなく「研ぐ」と表現されるようになりました。
お米を洗わないとどうなる?
お米は、ゴミや糠、お米の粉を取るために洗う必要があります。
また、お米に水分を吸わせて柔らかく炊き上げたりといった目的もあるのです。
精米した際の米の粉が付着しているため、粉を除去したほうが食感が良く美味しく炊けるでしょう。
異物が入っている可能性があったり、糠の臭いを除去したりといった目的があるため、可能な限り洗ったほうが良いのです。
万が一異物が入っていた場合、お米を洗わずに炊くと異物も一緒に食べてしまうことになります。
また、お米に虫がついている可能性もあるでしょう。
お米を収穫する前に虫が卵を産みつけており、お米の表面についていることはあります。
虫の卵が付くのは珍しいことではないため、お米を洗わずに炊いてしまうと虫の卵もついた状態で食べることになります。
健康を害するリスクは極めて低いものの、気持ちが悪いと感じるものです。
そのため、どうしても洗えない事情がなければ、お米は簡単に洗ったり研いだりした方が良いでしょう。
お米を洗わないことのメリット・デメリット
メリットとしましては、お米を洗わないと、水溶性ビタミンといった栄養が水に溶け出さず、栄養価が逃げにくくなることです。
栄養が水で流れにくくなるため、お米を洗った場合よりも若干栄養価が残ったお米を食べられます。
また、お米を洗わないと風味が濃くなることもメリットです。
デメリットとしましては、水道代がかかる、手間もかかる等で、洗わないことで事故を招くことはありません。
お米に糠が残っていると、糠の匂いが気になることがありますが、一切糠の匂いがないと美味しさが半減すると感じる方もいます。
お米を洗って糠を除去せずにそのまま炊くことで、糠の味がほのかに残ったお米を食べられます。
個人の好みによりますが、洗わないほうが香りが良いと感じる場合もあるでしょう。
お米を研ぎ過ぎると美味しくなくなる?
お米は洗うことで余分な汚れや糖を取り除き、美味しくご飯を炊くためには必要な工程ということがわかりました。
ですが、研ぎすぎるとよくないこともありますので注意が必要です。
- 栄養価が低下する:お米を研ぎすぎるとお米の外側にあるビタミンCやミネラルなどの栄養が流れてしまいます。
- 米粒が割れやすくなる:研ぎすぎると米粒が割れやすくなり、均一に美味しく炊きあがらないことがあります
- 味や食感が悪くなる:研ぎすぎることで米の表面に傷がつき、ふっくらと炊きあがらなかったり、デンプンが出てしまい粘りが損なわれることがあります
洗米は
なるべく時間をかけず短時間でおこない、割れたお米の発生を少なくすることが重要となります。
洗米開始5分くらいからお米は吸水を始め、約10%の水を吸水していますので手早く行うことが必要です。
参考動画 今さら聞けない料理の基本「お米のとぎ方(精白米 無洗米)」
まとめ
精米された段階でお米の汚れや糠が取り除かれてきれいになっていると、お米は「研ぐ」というよりも「洗う」という表現が正しいともいえます。無洗米と呼ばれる商品もあることから、お米は洗うものだと感じる方もいるでしょう。
精米技術が進化して、近年は「洗う」という表現が適切だと感じる場面も多いです。
昔のように、糠を除去するために十分に擦って研ぐ必要はなかったとしても、「洗う」よりも「研ぐ」ような感覚で処理をすると、お米の味や風味が少し変化するかもしれません。洗ったり研いだりする理由や目的を理解して、適切にお米の下処理をしましょう。