お米を選ぶ際は美味しいお米に巡り合うためにも銘柄だけではなく産地にもこだわって選びたいけれど、具体的にどこで作られたお米を選べばよいのかいまいちよくわからないという人はいませんか?
この記事ではお米を選ぶ時に知っておきたい、美味しいお米ができる環境から名産地まで詳しく解説します。
おいしいお米をつくる環境
美味しいお米が育つ環境要因にはどのようなものがあるのでしょうか。
4つご紹介します。
良質で豊富な水源
田んぼで作られるお米を「水稲(すいとう)」、畑で作られるお米を「陸稲(りくとう)」と呼びます。
2020年における日本の水稲の収穫量は722万6,000トン、陸稲の収穫量は2000トンでした。
できあがるお米の味は陸稲より水稲の方が優れているとされ、米の味にこだわる日本人が水稲栽培を伝統的に行ってきたのも理解できるでしょう。
水稲が育つためには良質で豊富な水源が必要とされるため、美味しいお米の産地の近くには必ずといってよいほど水質の良い、豊富な水があるのです。
平地
日本には日当たりのよい棚田なども見受けられますが、美味しいお米の産地における田んぼは比較的平地に多いのが特徴的と言えるでしょう。
これは広大な田んぼを管理するのに農業機械などを使用しやすいことと、お米を生産する上での作業効率が良くなることから自然とこのようになっていったと推察されます。
水はけがよい土
美味しいお米の産地は、水はけがよいことも特徴の1つです。
新しい水から得られる豊富な酸素が水稲の根に供給されることによって、お米は健康に育っていきます。
常に古い水が土中へと浸透し、新しい水と入れ替わる水はけの良い土壌では、美味しいお米が育つのです。
昼夜の寒暖差
稲は昼に太陽の光を浴びて光合成を行い、でんぷんを多く蓄えます。
一方稲は夜にそのでんぷんを消費しますが、夜間の温度が高いほどでんぷんが多く消費されてしまうため、お米に甘味が生まれないのです。
そのため昼夜の寒暖差が大きい山間部などでは、美味しいお米ができやすいとされています。
おいしいお米の有名産地
美味しいお米ができる環境について理解したところで、実際に美味しいお米を収穫している産地はどこなのでしょうか。
銘柄についても一緒に説明します。
北海道、山形、秋田、福島、新潟など
一般社団法人日本穀物検定協会では、1989年(平成元年)産のお米から継続して食味試験を行い、その結果をホームページで公開しています。
食味試験は専門のエキスパートパネルによって行われ、お米の食味ランクは特A、A、A’、B、B’としてランク付けされているのですが、公開されているデータの中には特Aランクのお米だけを一覧表にした「特Aランク一覧表」もあるのです。
この表を見ると北海道、山形、秋田、福島、新潟などでは特Aランクを2019年と2020年2年連続で取得しているお米が多いことがわかります。
美味しいお米の産地について詳しく知りたい人は、ひとまず一般財団法人日本穀物検定協会のホームページで最新の情報を収集することをおすすめします。
有名産地発、代表的なお米の銘柄
北海道、山形、秋田、福島、新潟などの有名産地で、一般財団法人日本穀物検定協会の食味試験で2年連続特Aランクのお米の銘柄にはどのようなものがあるのでしょうか。
産地別に表でまとめてみました。
特Aランク米の産地 | 銘柄 |
北海道 | ・ななつぼし
・ゆめぴりか ・ふっくりんこ |
秋田県 | ・ひとめぼれ |
山形県 | ・つや姫 |
福島県 | ・コシヒカリ
・ひとめぼれ |
新潟県 | ・コシヒカリ |
秋田県の有名な銘柄米で「あきたこまち」がありますが、2019年しか特Aランクを取得できなかったことを考えると、これらのお米がどれだけ美味しいものかが想像できるでしょう。
同じ銘柄でも産地で異なる
同じ銘柄でも、産地が異なれば特Aランクを取れないこともたくさんあります。
例えば青森県の「青天の霹靂」という銘柄米ですが、津軽地方で生産されたお米は2019年、2020年両方で特Aランクを取得しているのですが、中弘南黒・青森中央で生産されたお米は特Aランクではありませんでした。
この銘柄米の事例ではたまたま青森県内で異なるランクとなりましたが、全国規模で見渡してみると同じコシヒカリでも新潟県産は2年連続で特Aランク、山形県産はいずれも特Aランクではないなど銘柄だけで必ずしも美味しいお米とは判断できないのがわかります。
これらのことから美味しいお米を選ぶ時は、銘柄だけではなく産地もよく吟味することをおすすめします。
まとめ
美味しいお米を選びたいと思う時、つい銘柄や価格ばかりに目がいきがちですが、産地にも注目して選ばないと本当に美味しいお米にはたどりつけないことがわかりました。
ぜひプロが判定した客観的なデータを参考にしながら、好みに合ったお米を見つけてみてください。