業務用のブレンド米は銘柄米よりも価格が抑えられ、さまざまなお米の良いところを活かせることで人気が高いのですが、その美味しさをよりお客様に向けてアピールするためにはまずブレンド米について良く知ることから始める必要があるのではないでしょうか。
この記事ではブレンド米の特徴から美味しい炊き方まで詳しくご紹介します。
業務用の複数米(ブレンド米)とは?
ブレンド米は正式には「複数原料米」と言い お米の銘柄を2つ以上混ぜたもの 。
複数の品種が混合されて販売されるお米です。
「複数米」とも」呼ばれています。
複数原料米はこのほか「ブレンド米」・「ミックス米」・「混合米」などと呼ばれることもあります。
銘柄の割合が8:2、例えば「魚沼産コシヒカリ8割、滋賀県産コシヒカリ2割」
の場合でも、複数原料米となります。
別名、複数枚、ブレンド米、混合米、多数原料米などと表示されます。
袋詰めされたブレンド米はJAS法(日本農林規格等に関する法律)で「玄米及び精米品質表示基準」に基づいて複数原料米である旨と産地、使用割合を表示することが義務づけられています。
逆に産地・品種・産年が同じで農産物検査法による証明を受けた原料玄米を100%使用したお米は「単一銘柄米」と言います。
複数の品種・産地の米を混合(ブレンド)した米。品種・産地等が異なる米を混合することで、味、品質、価格等を調整できる効果があります。
一般的に、単価の高い有名品種・産地の単一品種米と比較して低価格であることが多いです。
業務用ブレンド米の特徴は?
業務用ブレンド米の販売最小ロットや入荷、価格について
業務用ブレンド米の販売最小ロットは30kgからが目安です。
通販の場合使いやすいよう袋を5kgずつの小分けにしてくれるお店や希望するブレンド米を入荷するとアラームで知らせてくれるお店なども見受けられるので、必要な場合はこのようなサービスもチェックするとよいでしょう。また業務用ブレンド米の価格は通販で30kgあたり8300~8900円ほどと銘柄米と比較すると安いため、価格が気になる方でも取り入れやすいのです。
業務用ブレンド米の産地について
業務用ブレンド米のみを特別に作っているという産地はないので、美味しいブレンド米を見分けるための参考情報をお伝えします。日本の農産物、飼料、食品などの第三者検定機関である一般財団法人日本穀物検定協会では1971年より毎年「米の食味ランキング」を発表しています。このランキングは主な米の銘柄について、日本穀物検定協会がその供試試料を食味試験した結果に基づいて決定するものです。
5年連続(2015年~2019年)特Aランクの品種と産地を表にしてみました。
品種 | 産地 |
ゆめぴりか | 北海道 |
ななつぼし | 北海道 |
つや姫 | 宮城県 |
あきたこまち | 秋田県 |
コシヒカリ | 福島県 |
コシヒカリ | 新潟県 |
コシヒカリ | 長野県 |
さがびより | 佐賀県 |
あきほなみ | 鹿児島県 |
商品そのものの評価ではありませんが、これらの品種と産地を参考にして産地限定ブレンド米を選ぶというのも1つの方法ではないでしょうか。
業務用ブレンド米のメリットとデメリット。良質な米を手に入れるなら信頼できるところから
業務用ブレンド米のデメリットは、1993年に起こった天候不順による米不足の際日本米とあまり相性が良いとは言えないタイ米をブレンドしたブレンド米が出回ったため、まずいというイメージがあることです。
複数原料米では古米が混ぜられ、主食用米として流通たことがありました。このような低品質米がブレンドされている可能性はゼロではありませんが、信頼できる業者、農家で買い求めることが一番の策です。
逆にメリットは3つあります。
①複数のお米を組み合わせることで食味が向上すること
②その年の作柄を考慮したブレンドを行うことで一定の品質を維持できること
③価格が安いこと
どれも飲食店にとってはうれしい内容ではないでしょうか。
業務用ブレンド米をよく使う外食産業での導入事例
業務用ブレンド米の導入事例を2つご紹介します。
①株式会社吉野家の事例
吉野家では牛丼に合う独自のブレンド米を使用し、程よい甘み・粘りのあるお米と、粒立ち良くやや硬質系のさっぱりとした味わいのお米を独自のバランスで組み合わせてブレンドしているのです。新しいブレンド米を仕入れる際は必ず官能検査(人間の感覚を用いてする検査)も行っています。
②タニタ食堂の事例
タニタ食堂では金芽米というオリジナルのブレンド米を使用しています。
摂取カロリーを減らし、玄米本来の栄養を残し、白米以上に美味しいのが特徴です。
ブレンド米は臭い、まずい、は誤り。複数米はまずくない! おいしく炊く6つのコツ
複数混ぜること=まずい、という印象があるかもしれませんが、ブレンド米は品種ごとの配合を変えるなどの工夫をして、どれもバランスよく美味しいお米に調整されています。
コシヒカリブレンドなど業務用ブレンド米の炊き方のコツをご紹介します。
業務用ブレンド米は手早く・優しく研ぎ、夏は30分・冬は2時間ほど吸水させましょう。冷たい水を用い、少なめの水で炊くのも忘れてはいけません。
またブレンド米はお米の持つ問題に合わせて流行りの「ちょい足し」をすることで美味しくなるという特徴があるのでご紹介します。
①米をしっかり研ぐ | 2.3回水替えを手早く行う |
②匂いが気になる場合は日本酒か昆布 | 日本酒はブレンド米1合に対して大さじ1杯、昆布は米3合に対して1枚入れましょう。 |
③つやがない場合はみりんかサラダ油 | みりんはブレンド米2合に対して大さじ1杯、サラダ油は米3合に対して大さじ1杯入れましょう。 オリーブオイルも使用可能です。 |
④甘みが足りない場合はみりんか塩 | みりんはブレンド米2合に対して大さじ1杯、塩なら米1合に対してひとつまみ入れましょう。 |
⑤パサパサする場合ははちみつかもち米 | はちみつはブレンド米2合に対して小さじ1杯、もち米なら炊く量の1割程度入れましょう。 |
⑥炊飯前に吸水 | 吸水をさせてから炊く |
まとめ
ここまでの記事を読んで業務用ブレンド米についてある程度は理解できたけれど、いざ自分で選ぶとなると自信がないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
業務用ブレンド米は品質の維持や価格の安さ、食味がいいことなどで飲食店にメリットの大きいお米であることがわかりました。
自分のお店に合ったブレンド米を研究し、よりお客様の心を満足させる料理を作ってみてください。
株式会社みどりフーズは専門の米食味鑑定士が多数在籍するお米専門の卸会社です。
大正2年創業、創業から100余年の豊富な経験と実績からお客様のニーズに合った最適なお米をご提案しております。