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ひよくもち米(ヒヨクモチ米)の炊き方・特徴・特性とは?

ひよくもち米(ヒヨクモチ米)の炊き方

目次

「ひよくもち米」というお米をご存知でしょうか。
もち米なら知っているけれど、ひよくもち米という名前は初耳の方も多いでしょう。この記事では業務用のひよくもち米について詳しく解説します。


1.ひよく米ともち米の違いとは?

ひよく米ともち米の違い

ひよくもち米ともち米の大きな違いは、もち米はお米の種類の1つであるのに対し、ひよくもち米はもち米の品種の1つであるということです。

業務用でよく使用されるもち米の品種とその特徴を表にまとめてみました。

品種特徴
ヒメノモチ岩手県をはじめ全国13県と最も広い地域で作付けされる品種。
こがねもち新潟県をはじめ全国5県で作付けされる品種。多収で良質。
ひよくもち作付けは九州に限定されており最も作付面積が多いのは佐賀県。白葉枯病に強い。
はくちょうもち作付けは北海道に限定されている。寒さに強く餅質が良い。
ヒデコモチ新潟県をはじめ全国各地で作付けされている。
マンケツモチ茨城県をはじめ関東で多く作付けされている。いもち病に強く多収。
朝紫(黒米)岩手県をはじめ全国13県で作付けされている。
つくし赤もち(赤米)新潟県をはじめ全国5県で作付けされている。


もち米は粘りのあるでんぷんアミロペクチン100%でできており、冷めても硬くなりにくく美味しさが長持ちしやすいという特徴がありますが、ひよくもち米ももち米の1種なのでこの特徴は同じなのです。しかしひよくもち米は業務用のもち米の中でもその特性から九州限定のブランドもち米として位置づけられていると言えるでしょう。


2.ひよく米の特徴とは?


ひよくもち米は1971年に福岡県にてホウヨクと祝糯を交配することで誕生し、九州の平坦な肥沃地帯からその名前をもらってひよくもちと名付けられました。
倒伏に極めて強く餅にした時の食味にも優れているため1971年に福岡県・佐賀県・鹿児島県の奨励品種にも採用されたのです。

奨励品種とは各都道府県でその気候や風土に適したお米の品種を調査し、好成績をあげたものについて、普及した方がよい品種として奨励する制度を言います。もち米は各県ごとに2~3種類しか指定されないので、ひよくもち米の良さが伝わるエピソードと言えるでしょう。

ひよくもち米は炊いても硬くなりにくく、きめが細かく粘りと甘味のある上品な食味が人気の秘密でお餅はもちろんのこと、お赤飯、おこわ、ちまきなどを作るのに向いています。業務用のもち米を探している方にはおすすめの品種です。


3.ひよくもち米の炊き方について

以前こちらの記事で業務用もち米の美味しい炊き方についてご紹介しました。

業務用のもち米について

業務用もち米の特徴を踏まえた炊き方のポイントは次の3点です。

①研ぐ時はもち米の美味しさと食感を損ねないため米粒が割れないよう丁寧に洗うこと

②もち米は水の吸収率が高いため水は少なめにして炊くこと

③炊き上がった後にほぐす時はゆっくりと行うこと

ひよくもち米もこのポイントを押さえて丁寧な炊き方を心がけましょう。
またひよくもち米で作るのに向いている、美味しいお赤飯の炊き方をご紹介します。

①材料(4人分)

ひよくもち米2カップ、うるち米1/2カップ、小豆1/3カップを用意しましょう。

②作り方

(1)小豆はさっと洗い水をかぶる位の量で硬めにゆで、これを2回くりかえします。(ゆで時間は1回約8分間が目安です)

(2)小豆とゆで汁を別々の容器にわけます。

(3)2種類の米を合わせてとぎ、小豆とゆで汁を加えて炊きます。(蒸して作るときはひよくもち米だけでも美味しくできます)

ひよくもち米の良さを十分活かせるお赤飯を、試しに一度作ってみてはいかがでしょうか。


4.まとめ

ひよくもち米は九州だけで作付されているもち米のブランド米で、倒伏に強く食味が良いという特徴からお餅・お赤飯・おこわ・ちまきなどさまざまに加工され、広く愛されていることがわかりました。

もち米の種類自体はたくさんあっても、丈夫で安定的な供給が可能であることや粘りや甘味のある上品な味であることなど業務用として使用するのに適した特徴を持つ品種というのはそれほど多くはないからなのでしょう。